【実験】漬物石の運動エネルギーはどこへ消えた？サーモグラフィーで見えた世界

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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みなさんは、動いているものが自然に止まってしまう様子を見て、「その勢いはどこへ消えてしまったんだろう？」と不思議に思ったことはありませんか？ 今回は、そんな素朴な疑問を解決するために、ちょっと変わった実験を行ってみました。

3.5kgの漬物石で実験！消えたエネルギーの行方

ホームセンターで漬物石（3.5kg）を買ってきて、学校の長い廊下で思いっきり滑らせてみました。 石はスーッと勢いよく滑っていきますが、やがて減速し、最終的には止まります。

理科の授業で習う「運動エネルギー」。動いている物体はエネルギーを持っています。しかし、止まってしまったということは、その運動エネルギーはゼロになったということです。 エネルギー保存の法則では「エネルギーは消滅しない」はず。では、石が持っていた運動エネルギーは一体どこにいってしまったのでしょうか。

その答えを可視化するために、サーモグラフィーカメラを使って撮影してみました。その驚きの様子がこちらです。

摩擦が生み出す「熱」の足跡

映像をご覧いただけたでしょうか。 漬物石が通り過ぎた後の床に注目してください。石が通った道筋が、赤く浮かび上がっているのが見えますね。これは、その部分の温度が高くなっていることを示しています。

物理学の視点で解説すると、これは「運動エネルギーが摩擦力による仕事によって、熱エネルギーに変換された」という現象です。

冬の寒い日に、手をこすり合わせると温かくなりますよね？ あれも同じ原理です。手の運動エネルギーが摩擦によって熱エネルギーに変わっているのです。 今回の実験では、漬物石と床の間で激しい摩擦が起き、石が止まる代わりに熱が発生したというわけです。目には見えないエネルギーの変換が、はっきりと映像として捉えられました。

科学の目がスマホで手に入る時代

昔なら、こうした熱を可視化する実験は大掛かりな装置が必要でした。しかし今は、スマホに接続するだけのサーモグラフィーが手軽に手に入る時代になりました。これは本当に良い買い物をしました。

サーモグラフィー（FLIR One Pro）について

今回使用したのは、中〜遠赤外線を感知するカメラです。少し前までは２桁万円はしていた高価な機材ですが、技術の進歩には驚かされます。 私が使用しているのは、スマートフォンの充電端子（LightningケーブルやUSB-C）に直接接続できるタイプです。

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【購入時の注意点】 接続端子の形状には十分ご注意ください。以下のリンクは「USB Type-C」接続のAndroid端末や最新のiPhone 15以降などで使えるものです。ご自身のスマホに合わせて選んでくださいね。

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