スマホで発見!千葉に舞い降りた「天からの手紙」と六角形の秘密(2026/02/08関東で積雪)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
昨日、関東地方に待望の(?)、あるいは驚きの積雪がありましたね。私の住む千葉県でも、朝起きたら一面の銀世界。およそ8cmほども積もったでしょうか。ただの「寒い日」を「特別な日」に変えてくれるのが、雪の魔法です。
私は早速、スマホのカメラを片手に外へ飛び出しました。実は、私たちの身近にあるスマートフォンを使えば、空から舞い降りた「奇跡の図形」を捉えることができるのです。今回は、昨日撮影した写真とともに、雪の結晶がなぜあんなに美しいのか、その秘密に迫ってみましょう。

一面の銀世界!千葉に現れた冬の景色
朝、カーテンを開けて驚きました。庭も道路も真っ白です。

近くに止めてあった車からは、立派な氷柱(つらら)が垂れ下がっていました。氷が溶けては凍り、少しずつ成長していく様子が分かりますね。

こちらは公園の手すりです。ふんわりと積もった雪の質感が伝わるでしょうか。

今回の雪は、雪だるまが作りやすい「ベトっとした雪」でした。これは水分を多く含んでいる証拠です。子供と一緒に雪合戦を楽しみましたが、握るとすぐに固まるので、雪合戦には最高のコンディションでした。
雪を降らせた犯人は「南岸低気圧」
さて、理科教師として気になるのは「なぜ降ったのか」というメカニズムです。

雪だるま:鼻をサザエにして、ボタンも巻貝にしてみいました。
当日の天気図を見てみましょう。典型的な南岸低気圧型の積雪ですね。日本の南の海上を低気圧が通る際、北から冷たい空気を引き込むことで、関東に雪をもたらします。
関東平野は北と西を山に囲まれた「袋」のような形をしています。引き込まれた冷たい空気は山に阻まれて逃げ場を失い、地上付近にどんどん溜まっていきます。一方で、低気圧自体は南の暖かい海からたっぷりと湿った空気を運んできます。この湿った空気が、先ほど溜まった「冷気まくら」の上にかぶさるように流れ込み、雪雲が発生します。
こちらは夜3時の様子。

朝6時、低気圧がちょうど関東の真下あたりに来ています。

そして朝の9時。この時間が雪のピークでした。

結局、昼間の14時くらいまで降り続けたのですが、私は9時頃にカメラを持って外へ出ました。実は最近のスマホ、性能がすごくて、特別なレンズがなくても結晶がバッチリ撮れるんです。
スマホで発見!空からのラブレター
雪の上にカメラを近づけて、ピントを合わせてみると……。

見えますか? もっと拡大してみましょう。

見事な六角形が現れました! 氷の粒が集まっているだけに見えて、実はこんなに幾何学的な形をしているんです。

なんて美しい構造でしょう。一部を拡大しても全体と同じような図形が現れるフラクタル構造そのものですね。

撮影したどの結晶も、形は違えどすべて「六角形」がベースになっています。なぜ、雪はこれほどまでに頑固に「六」という数字にこだわるのでしょうか?
雪が「六花」になる、分子の秘密

雪の結晶が美しい六角形(六花)になるのは、ひとえに水分子の「手」のつなぎ方に秘密があります。簡単に言うと、水が凍る(固体になる)ときに、分子同士が最も安定して並ぼうとすると、自然に六角形の構造ができあがってしまうのです。
水分子の形と「水素結合」
水分子は、1つの酸素原子に2つの水素原子が「くの字」型にくっついた形をしています。この形の影響で、水分子にはプラスとマイナスの電気的な偏りがあります。氷になるとき、水分子は隣の分子と引き合い、特定の角度で結びつきます(これを水素結合と呼びます)。
水分子が集まって凍る際、お互いに反発せず、かつ最も安定した距離を保とうとすると、6つの水分子が環状に並んだ六角形の構造を作ります。これが結晶の最小単位(ユニット)となります。

六角形のまま成長する
空の上で雪の赤ちゃん(核)ができると、周囲の水蒸気がその周りにくっついて成長していきます。
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六角形の「角」の部分は、平らな面よりも水蒸気がくっつきやすいという性質があります。
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そのため、角から外側へ向かってどんどん枝が伸びていきます。

土台となる最小単位が六角形であるため、どれだけ大きく成長しても、その幾何学的な特徴が維持され、私たちの目に見えるサイズの「六角形の雪」になるのです。
なぜどれも形が違うの?
基本はすべて六角形ですが、枝の伸び方はその時の気温と湿度に非常に敏感です。雪の研究で有名な中谷宇吉郎博士は「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残しました。結晶の形を見れば、その雪がどんな空の旅をしてきたかがわかる、という意味です。
雲の中を落下しながら刻々と変わる環境を通るため、一つとして同じ形の結晶は存在しないと言われています。自然が作り出すアート、本当に奥が深いですよね。
また、この不思議な幾何学模様をコンピューターで再現することもできます。Scratchによるフラクタル図形の描き方についてこちらにまとめました。プログラミングで自分だけの「雪の結晶」を作ってみるのも楽しいですよ。ぜひ挑戦してみてくださいね。
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