圧力鍋はなぜ時短なの?「沸騰」の科学(バーミキュラ)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

山頂で食べるカップラーメンは格別な美味しさがありますが、実はある「科学的な悩み」を抱えていることをご存知でしょうか? 実は、標高の高い場所では、いくらお湯を沸かしても「アツアツの100℃」にはならないのです。 今回は、私たちのキッチンにも隠れている「気圧と温度」の不思議な関係を、理科の視点からのぞいてみましょう。

山の上のラーメンが、少し「ぬるい」理由

登山中、絶景を眺めながらカップラーメンを作ろうとすると、不思議な現象が起こります。 お湯はボコボコと威勢よく沸騰しているのに、いざ食べてみると「なんだか少しぬるいな?」と感じることがあるのです。

その犯人は、ずばり「気圧」です。

水が沸騰する温度(沸点)は、周りから押さえつけている空気の力、つまり気圧によって変わります。 標高が高い場所は空気が薄いため、気圧(圧力が低い状態)が下がります。すると、水分子が空気の押し込みを跳ね除けて空気中へ飛び出しやすくなるため、100℃に達する前に沸騰が始まってしまうのです。

富士山の山頂(標高3,776m)では、およそ88℃で沸騰してしまいます。 これでは、麺を芯まで戻すには少し温度が足りません。山で食べるラーメンが少し硬めに感じるのは、単に待ちきれないからではなく、科学的な理由があったのですね。

富士山の頂上を再現!注射器一つで体験する「減圧沸騰」の驚き実験(状態変化)

逆転の発想!「圧力」を味方にするキッチン用品

この現象を逆手に取ったのが、家庭で大活躍する「圧力鍋」です。こちらはうちのお鍋です(バーミキュラ)。

鍋の内部を密閉して、逃げようとする水蒸気を閉じ込めることで、内部の気圧を無理やり高くします。 すると、水分子が飛び出そうとしても強い圧力で押さえつけられるため、100℃を超えても沸騰が起こらなくなります。

結果として、鍋の中の温度を120℃などのより高温にまで引き上げることができるのです。 温度が高いということは、それだけ食材に熱が伝わるスピードも早まります。 カチカチのごぼうや、硬いお肉があっという間に柔らかくなるのは、この「超・高温調理」のおかげ。 調理時間の短縮は、まさに科学の勝利といえますね。

私の家でも、この圧力の仕組みを巧みに利用した「バーミキュラ」というお鍋を数年前に購入し、愛用しています。バーミキュラは高い密閉性を誇る鋳物ホーロー鍋です。 蓋の重みと精密な設計によって、中の蒸気を逃がさず、適度な圧力を保ったまま調理が可能です。 特に炊飯においては、お米一粒一粒にムラなく高温の熱が伝わるため、驚くほどふっくらとした仕上がりになります。

VERMICULAR(楽天) amazon

山の上ではお湯がぬるくなり、圧力鍋では100℃を超える。 一見バラバラな出来事に見えますが、すべては「気圧と沸点」という一つのルールでつながっています。理科の知識を知っていると、いつもの料理も少し違った景色で見えてくるはずです。 次にキッチンで鍋を火にかけるときは、ぜひ目に見えない「圧力の力」を想像してみてくださいね。

お問い合わせ・ご依頼について

科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中

科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!

3月のイチオシ実験!

  • 押し花を作ろう!:梅や桜の花の押し花を作ってみましょう。特別なケースに入れると、長く保存できて、しおりにもなります。

テレビ番組・科学監修等のお知らせ

書籍のお知らせ

講師・ショー・その他お知らせ

Explore

  • 楽しい実験…お子さんと一緒に夢中になれるイチオシの科学実験を多数紹介しています。また、高校物理の理解を深めるための動画教材も用意しました。
  • 理科の教材… 理科教師をバックアップ!授業の質を高め、準備を効率化するための選りすぐりの教材を紹介しています。
  • Youtube…科学実験等の動画を配信しています。
  • 科学ラジオ …科学トピックをほぼ毎日配信中!AI技術を駆使して作成した「耳で楽しむ科学」をお届けします。
  • 講演 …全国各地で実験講習会・サイエンスショー等を行っています。
  • About …「科学のネタ帳」のコンセプトや、運営者である桑子研のプロフィール・想いをまとめています。
  • お問い合わせ …実験教室のご依頼、執筆・講演の相談、科学監修等はこちらのフォームからお寄せください。