現れた「雪のパンケーキ」の正体は?マンホールだけ雪が残る科学的理由

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

雪が降り積もった朝、ふと足元を見て「おや?」と思ったことはありませんか?道路の雪はすっかり溶けているのに、なぜかプラスチック製のマンホールの蓋の上だけ、きれいに雪が残っている。まるで誰かが置いた「真っ白なパンケーキ」のような、不思議で可愛らしい光景です。

実はこれ、理科の授業で習う「熱の伝わり方」が引き起こす、とてもダイナミックな科学ドラマなのです。

1. 熱を運ぶスピードの差:熱伝導率のヒミツ

雪が溶けるためには、地面から雪へと「熱」がバトンタッチされなければなりません。この熱を運ぶスピードのことを「熱伝導率」と呼びますが、コンクリートとプラスチックではそのパワーが全く違います。

  • コンクリート: 地中や周囲にあるわずかな「熱」を、雪まで効率よくスピーディーに運びます。言わば「熱の運び屋」。そのため、雪は下からどんどん温められて、目に見えて溶けていきます。
  • プラスチック: 実は熱を伝えにくい素材で、どちらかと言えば「断熱材」に近い性質を持っています。地中の熱がプラスチックに遮断され、上の雪まで届かないため、雪は「冷たいまま」そこにとどまることになるのです。

2. 熱の貯金箱:熱容量の大きさが命運を分ける

次に注目したいのが、物体がどれだけ熱を蓄えておけるかという「熱容量」の違いです。これは、いわば「熱の貯金箱」のようなものです。

今回の雪のように夜から積もる場合、前日の昼間に蓄えた熱がどれだけ残っているかが重要です。コンクリートは密度が高くて重いため、熱の貯金箱が非常に大きく、夜になっても熱をしっかりキープしています。一方で、プラスチックは熱の貯金箱が小さいため、雪が積もるとすぐに冷え切ってしまいます。この「冷めにくさ」の差が、雪が溶けるか残るかの境目になるのです。

3. 地面とのつながり:チームプレーか、孤立か

最後は、その場所の「構造」に注目してみましょう。ここには、物理的な「つながり」のドラマがあります。

  • コンクリート: 広い地面とがっしり一体化しています。一箇所の熱が逃げても、周りの地面から次々と熱が補充される「チームプレー」で雪を溶かします。
  • プラスチック製の蓋: 下が空洞(マンホール内)であることが多く、そこには冷たい空気が溜まっています。さらに、プラスチック自体が地面からの熱をブロックしてしまうため、雪にとっては、熱の供給が絶たれた「冷たい孤島」の上に載っているような状態なのです。

雪の日は街全体が理科の教科書!

このように、見た目は同じように雪が積もっていても、その下の素材が「熱をどれだけ運んでくれるか」という物質の個性によって、雪の運命は劇的に変わります。

もし次に雪が降ったら、街中を観察してみてください。木製のベンチ、鉄製のマンホール、タイル張りの床……素材によって雪の溶け方はバラバラなはずです。次は、熱を伝えやすい代表格である「金属」の上の雪はどうなるか、あなたならどう予想しますか?日常のささいな疑問から、科学の扉はいつでも開いています!

お問い合わせ・ご依頼について

科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中

科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!

3月のイチオシ実験!

  • 押し花を作ろう!:梅や桜の花の押し花を作ってみましょう。特別なケースに入れると、長く保存できて、しおりにもなります。

テレビ番組・科学監修等のお知らせ

書籍のお知らせ

講師・ショー・その他お知らせ

Explore

  • 楽しい実験…お子さんと一緒に夢中になれるイチオシの科学実験を多数紹介しています。また、高校物理の理解を深めるための動画教材も用意しました。
  • 理科の教材… 理科教師をバックアップ!授業の質を高め、準備を効率化するための選りすぐりの教材を紹介しています。
  • Youtube…科学実験等の動画を配信しています。
  • 科学ラジオ …科学トピックをほぼ毎日配信中!AI技術を駆使して作成した「耳で楽しむ科学」をお届けします。
  • 講演 …全国各地で実験講習会・サイエンスショー等を行っています。
  • About …「科学のネタ帳」のコンセプトや、運営者である桑子研のプロフィール・想いをまとめています。
  • お問い合わせ …実験教室のご依頼、執筆・講演の相談、科学監修等はこちらのフォームからお寄せください。