ジャムはどうして固まるの? 魔法の成分「ペクチン」のすごい力
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
トーストに塗ったジャムが、とろーりとしているのはなぜでしょう? 🍓 果物と砂糖を煮詰めるだけなのに、どうしてあの独特の「ぷるん」とした食感が生まれるのでしょうか。実は、そこには果物自身が持つ、魔法のような「科学の仕掛け」が隠されています。 今回は、ジャムが固まる秘密と、その主役である「ペクチン」の驚くべき力について、深掘りしていきます!

ジャムが「ぷるん」と固まる秘密の網
ジャムを作るとき、果物に大量の砂糖を加えて煮詰めていきます。 あの「とろみ」や「ぷるん」とした食感は、どうやって生まれるのでしょう?主役は、果物自身が持っている「ペクチン」です。 ペクチンは、りんごや柑橘類の皮に特に多く含まれる、食物繊維の一種(広い意味では糖の仲間です)。

ジャムを煮詰めるとき、このペクチンと、加えた砂糖、そして果物が持つ酸(酸味)の3つがそろうと、奇跡が起こります。 ペクチン同士が砂糖や酸の力を借りて、まるで網(あみ)の目のようにつながり合い、その網目の中に水分や果汁を抱え込むのです。これが、ジャムがゼリー状になる仕組みです。さらに煮詰めていくと、水が蒸発してペクチンの濃度が高まるため、この網目構造がより強固になり、しっかりとしたゼリー状になっていきます。
ペクチンとフルーチェの関係
1. フルーチェが固まる秘密
みなさん、「フルーチェ」を食べたことはありますか? 牛乳と混ぜると、とろーんと固まりますよね。 実は、あれもペクチンの力なんです。 ただし、ジャムとは少し仕組みが違います。ジャムが「砂糖」と「酸」で固まるのに対し、フルーチェに使われるペクチンは、牛乳に含まれる「カルシウム」と反応して固まるように、特別に調整されているのです。 まさに科学の知恵が詰まったデザートですね!
2. お腹の健康を支える「食物繊維」
もう一つの重要なポイントは、ペクチンは「ヒトの消化酵素では分解されない」という部分です。 「分解されない? それって、食べても意味がないの?」と思うかもしれませんが、とんでもない! これこそが、#ペクチン が「食物繊維」と呼ばれる理由です。
私たちの体(消化酵素)では分解(消化)できませんが、それがそのまま大腸まで届くと、そこに住んでいる「腸内細菌」たちのごちそうになります。 腸内細菌がペクチンをエサにして元気になることで、私たちの腸内環境を整えたり、体にとって良い物質(短鎖脂肪酸など)を作り出してくれたりするのです。
ジャムは「科学」と「健康」の結晶
私たちが何気なく食べているジャム。 それは、果物の中のペクチンという食物繊維が、砂糖や酸と出会って起こる「科学反応」の産物だったのです。そして、そのペクチンは、おいしさだけでなく、私たちのお腹の健康(腸活)にも一役買ってくれる、頼もしい存在でもあります。 次にジャムの瓶を手に取るときは、ぜひこの小さな「科学の物語」を思い出してみてくださいね。🍓
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