目では見えない“消灯”の瞬間!LED信号機の不思議

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

【チカチカの正体】信号機をスローモーションで見てみたら…

ふと通学路で信号機を見ていて、「あれ?」と思ったこと、ありませんか?赤や青のランプがいつも光っているように見えるのに、スマホで動画を撮って再生すると、なぜかチカチカと点滅して見える。目では気づかなかった不思議な現象です。

そこで、今回改めて信号機をビデオ撮影してみました。すると…やっぱり普段からチカチカと点滅しているように映る!目ではずっとつきっぱなしに見えるのに、カメラを通すとまるで瞬きしているようです。

これはいったい何が起きているのか?

この原因、実は電源の性質とLEDの仕組みに関係しています。日本では、電力会社によって交流の周波数が異なり、東日本では50Hz、西日本では60Hzの電気が使われています。つまり、1秒間に50回または60回、電気の流れる向きが変わっているということ。

LEDはこの交流に合わせて点滅しており、電気が流れていない瞬間には一瞬だけ消灯している状態になります。ただし、この点滅は非常に高速なので、人間の目には光が持続しているようにしか見えません(これを残像効果といいます)。

ところが、スマホのシャッターやビデオカメラの**フレームレート(撮影するコマ数)**によっては、この一瞬の消灯が「映像として記録されてしまう」ため、チカチカと明滅しているように見えるわけです。

身のまわりのLEDも実は…

信号機に限らず、家庭や学校のLED照明、電光掲示板などでも、同じような現象が起きています。撮影すると「変な縞模様が出る」「画面がチカチカする」というのは、すべて交流電源とLEDの特性によるもの。

「普段見えているものは、実は見えていないものも多い」理科の世界ではよくある話ですが、こうして身近な不思議を掘り下げてみると、新しい発見がありますね。

実験にも応用できるかも?

この現象は、LEDと交流電源の関係を学ぶ授業の導入にもぴったり。スマホさえあれば実験可能なので、物理分野の授業や自由研究でも扱いやすいテーマです。「見える」こと、「見えないけれど起きている」ことの違いを考えるきっかけにもなるでしょう。

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