ファミレスで発見!1000円以下の「ホバークラフト」で慣性の法則を体感しよう
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
日常のふとした瞬間に、科学の神様は微笑みます。こちらの動画をご覧ください。「物体は力を受けない限り、動き続ける」という慣性の法則が手に取るようにわかるこの動き。これがなんと、たった1000円以下で手に入るおもちゃだというのだから、感動せずにはいられません。
ファミレスで見つけた「科学の原石」
先日、家族でファミリーレストランに行ったときのことです。レジの前には、子供たちの目を引くさまざまなおもちゃが並んでいました。2歳になる我が子もそのコーナーが大好きで、きかんしゃトーマスのおもちゃに夢中になっています。そんな子供の横で、私も一緒になって何があるのか眺めていたのですが……ふと、ある一つの箱に目を奪われてしまいました。それは、エアーホッケーのおもちゃです(ノコノコエアホッケー)。
職業病でしょうか、「これは授業で使えるかもしれない…」と直感が働き、妻にバレないようにこっそりと購入してしまいました。家に帰って、高鳴る胸を抑えつつ箱を開けてみると、、、

中にはシンプルに、エアホッケーのパック(円盤)と、それを叩くマレット(ラケット)が入っていました。
なぜ、こんなにも滑らかに動くのか?
早速遊んでみた様子が、冒頭の動画です。

動画でご覧いただいた通り、テーブルの上を思ったよりもスーッと、まるで氷の上のように滑り続けています。これは不思議ですよね。通常、物体を床で滑らせると、床との間に摩擦力が働き、すぐに止まってしまいます。しかし、このおもちゃは違います。
秘密はパックの裏側にあります。上部に内蔵されたモーターがファンを回し、下に向かって風を送り出しているのです。この風がパックとテーブルの間に空気の層を作り出し、わずかに浮き上がらせることで、摩擦を極限まで軽減させるという仕組みです。まさに、水陸両用の乗り物「ホバークラフト」と同じ原理ですね。モーター音は掃除機のように少し大きいですが、その分、効果は絶大です。
理科室の悩みを解決する救世主
実は以前、同じ仕組みのものを手作りして授業で使っていたことがありました。しかし、手作りだとどうしても耐久性に難があり、生徒たちが夢中になって扱うと壊れてしまうことが悩みだったのです。また、これまでは「等速直線運動」の実験をするために、わざわざドライアイスを買ってきて実験をしていました。
ドライアイスは準備も保存も大変ですが、このおもちゃなら単4乾電池が2本あればいつでも実験が可能です。これなら耐久性も心配ありませんし、何より安いので、班の数だけ揃えるのも予算的に簡単です。「慣性の法則」の導入として、生徒たちに見せるには最高の教材に出会いました。
科学の面白さは、高価な実験器具の中にだけあるわけではありません。皆さんもぜひ、身近な場所で科学のタネを探してみてください。おすすめです!
お問い合わせ・ご依頼について
科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中!
科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!


