月島雫も見ていた!?美しすぎる科学雑誌『ニュートン』が拓く未来への視点(耳をすませば)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

宮崎駿監督もニュートンが好きだった!?
名作アニメーション映画の中に、実は「科学の入口」が隠されていることをご存知でしょうか。先日、スタジオジブリの映画「耳をすませば」をじっくり鑑賞していたところ、主人公の雫が訪れる図書館のシーンである驚きの発見をしました。思わず一時停止を押してしまったその画面が、冒頭の写真です。皆さん、本棚に並んでいるあの有名な科学雑誌『ニュートン(Newton)』が見えるでしょうか?
画面の右下に注目してください。

わ!!!

わわわ!!すごい量ありますね。
あの特徴的な赤い背表紙とロゴがずらりと並んでいます。驚くべきことに、この棚に置かれた科学雑誌のうち、なんと約64%(14冊中9冊)がニュートンで占められていました。細部までこだわり抜くジブリの背景美術の中に、これほどまでに科学雑誌が描き込まれていることに、理科教師として胸が熱くなりました。
皆さんは、この雑誌を手に取ったことがありますか?私も高校時代、教室の書棚にあったニュートンを夢中で読み耽っていました。そんな思い入れのある雑誌が、映画「耳をすませば」の中でこれほどまでに存在感を放っているのを見つけ、不思議な縁を感じずにはいられませんでした。
実際には宮崎駿監督というよりは、当時の背景美術を担当された方のこだわりかもしれませんが、物語の舞台となる図書館のリアリティを支えるピースとして、ニュートンが選ばれたという事実はとても誇らしいことです。
ニュートンが教えてくれる「見る科学」の力
ニュートンが他の雑誌に比べて圧倒的に優れている点は、その究極のビジュアル表現です。
科学という学問は、時に目に見えない抽象的な理論(数式や法則)を扱います。しかし、ニュートンはそれを「圧倒的にリアルなイラスト」や「息を呑むような美しい写真」で可視化してくれます。例えば、 ・水滴に濡れて宝石のように輝く熱帯雨林の生き物 ・宇宙の深淵を感じさせる精密な天体イラスト ・ミクロの世界を解き明かす電子顕微鏡写真
これらは、一度見たら忘れられないほどのインパクトがあります。大学の講義でも資料として使われるほど正確でありながら、中学生が読んでもワクワクするような、「知的好奇心を刺激するデザイン」が完成されているのです。
私が以前、理系クラスの担任をしていた際、クラス費でニュートンを定期購読しようと提案したところ、最初は生徒から大反発を受けました(笑)。ところが、自分の私物のニュートンをさりげなく教室に置いておくと、休み時間に生徒たちが次々とページをめくり、写真に見入っている姿が見られるようになりました。「理科は難しい」という壁を、圧倒的なビジュアルの力が壊してくれた瞬間でした。
日本の科学の火を絶やさないために
現在、日本で発行されている一般向けの本格的な科学雑誌は決して多くありません。科学技術立国と言われながらも、こうした貴重な媒体が経営難に陥る現状には、一抹の寂しさを感じます。
ニュートンは、単なる情報の束ではなく、「科学への憧れ」を育む装置です。もし皆さんが本屋さんで赤い背表紙を見かけたら、ぜひ一冊手に取ってみてください。特におすすめは、一つのテーマを深く掘り下げた「別冊」シリーズです。
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