【科学監修】甘いトマトは沈む!?付箋は濡らすと強くなる!?日常で使える科学の裏ワザ2選「チャンハウス」)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験!
スーパーでトマトを選ぶとき、「どれが一番甘いのかな?」と悩んだ経験はありませんか? あるいは、大事なメモを書いた付箋が、すぐにペラリと剥がれて困ったことは?実は、そんな日常の「あるある」を、科学の力で鮮やかに解決する裏ワザがあるんです!
先日、2025年3月1日に放送された「チャンハウス」(フジテレビ)という番組で、私が科学監修を担当させていただきました。今回は、その番組で紹介された、明日からすぐに使える驚きの科学雑学を、深掘りして解説します!
スーパーで使える科学!甘いトマトは水に沈むってホント?
ずらりと並んだ真っ赤なトマト。見た目だけでは、甘い「当たり」のトマトを見分けるのは至難の業ですよね。しかし、ある簡単な実験で、その甘さを見抜くことができるのです。その名も「トマト浮沈実験」!
実験はとっても簡単!
- 水槽や大きなボウルに水を入れ、トマトをそっと浮かべます。
- (もし全部浮いてしまったら)塩を少しずつ加えて、溶かします。
- 最初に浮かび上がるトマトと、最後まで頑張って沈んでいるトマトを比べてみましょう。
番組で実際にこの実験を行い、それぞれの糖度を測ってみたところ、驚きの結果が出ました。

画像は、2025年3月1日放送のフジテレビ「チャンハウス」より引用したものです。出典:「チャンハウス」(フジテレビ、2025年3月1日放送)
- 最初に浮かんだトマトの糖度 → 6.9度
- 最後まで沈んでいたトマトの糖度 → 9.0度
この結果が示す結論はただ一つ。「甘いトマトほど、水に沈みやすい」ということです!
なぜ? 甘いトマトが沈む科学的な理由
その秘密は**「密度(みつど)」**にあります。密度とは、同じ体積(大きさ)あたりの重さのこと。ギュッと中身が詰まっているものほど、密度が高いということになります。
トマトは太陽の光を浴びて光合成をすることで、葉で作った栄養(糖分)を実に蓄えます。熟していく過程で、実の中の水分が少しずつ減り、代わりに糖分がどんどん増えていきます。すると、同じ大きさでも中身の糖分が多いため、ズッシリと重くなります。これが「密度が高くなる」状態です。
水より密度が高いものは沈み、低いものは浮きます。つまり、最後まで水に沈んでいたトマトは、それだけ糖分をたっぷり蓄えた、中身の濃い「エリートトマト」だったというわけですね! 🍅
【文房具の裏ワザ】水性ペンで付箋の粘着力が復活する科学
続いては、文房具の裏ワザです。「一度剥がした付箋の粘着力が、水性マーカーでなぞるだけで復活する」…これ、ご存知でしたか? 私も最初に聞いたときは「まさか!」と思い、半信半半疑で試してみました。
こちらも実験は超簡単!
- 粘着力が弱くなった付箋を用意します。
- 糊がついている部分を、水性マーカーでサッとなぞります。
- 壁などに貼り、クリップを吊るすなどして強度を確かめてみましょう!
番組では、クリップを吊るして粘着力を比べるという面白い方法で実験。すると、明らかに水性マーカーでなぞった付箋の方が、多くのクリップを支えることができました!

ここで私は考えました。「もしかして、重要なのはマーカーの色ではなく、インクに含まれる『水』なのでは?」と。そこで、水をつけた筆で糊をなぞってみると…やはり、ただの水でも粘着力が強くなったのです!
なぜ? 水で粘着力がパワーアップする秘密
この現象の鍵を握るのは、付箋の糊に使われている**「アクリル系ポリマー」**という化学物質です。
このポリマーは、乾いている状態ではカチカチの小さな粒ですが、水分を吸収すると、まるでスポンジのようにフニャッと柔らかくなる性質を持っています。柔らかくなった糊は、紙の表面にあるミクロな凹凸に深く入り込み、ピッタリと密着します。これが、粘着力が復活する仕組みです。
水性マーカーのインクには水分が含まれているため、糊のポリマーを再び活性化させることができるのですね。だから、油性マーカーでは効果がないのです。まさに「水と油」というわけです!
まとめ:日常は科学の実験室だ!
今回ご紹介した2つの現象は、どちらもご家庭や学校で簡単に試せるものばかりです。
- 🍅 トマトの甘さを見極める浮沈実験
- 📝 付箋の糊を復活させる水性マーカーの裏ワザ
「なぜだろう?」と感じた身の回りの不思議も、科学の視点で見てみると、その裏には面白い法則が隠れています。日常は、最高の科学の実験室です。皆さんもぜひ、楽しみながら試してみてくださいね!
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