100均コップが大変身!石ころに秘められた地球のドラマを覗く「ロック・スコープ」の作り方

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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道端に転がっている、ありふれた石ころ。普段は何気なく通り過ぎてしまうかもしれません。でも、もしその石ころに秘められた、壮大な地球のドラマを覗き見ることができるとしたら、ワクワクしませんか?今回は、100円ショップのプラスチックコップをほんの少し加工するだけで、誰でも「科学者の眼」を手に入れられる、魔法のような観察道具の作り方と、それを使って岩石のミクロな世界を探検する方法をご紹介します。

準備するのは、たったこれだけ!

用意するものは、小さめのプラスチックコップと油性ペン、そしてカッターだけです。コップはネット通販などでも買えます(アマゾン)が、私はダイソーで買ってきました。さあ、一緒に「ロック・スコープ」を作ってみましょう!

簡単ステップで完成!手作り「ロック・スコープ」

作り方はとってもシンプルです。まず、プラスチックコップの底のふちを、油性ペンでぐるりと一周塗りつぶします。この線が、あとで切り取るガイドラインになります。

次に、カッターを使ってペンで塗った部分を慎重に切り抜いていきます。くれぐれも手を切らないように気をつけてくださいね。底がぽっかりと空いたら、もう完成です!とっても簡単でしょう?

このアイデアは、学校図書の指導書で紹介されていたもの。観察したい生徒の人数分、あっという間に作れてしまいます。

スコープで覗けば、石の「顔」が見えてくる

使い方も、もちろん簡単。このスコープを、観察したい岩石の上にそっと置くだけです。

スコープの円の中に切り取られた部分だけを、じっくり観察してスケッチしてみましょう。なぜわざわざスコープを使うのでしょうか?それは、観察する範囲を限定することで、岩石の細かな粒の大きさや模様の違いに、ぐっと集中できるからです。

こちらが、実際に生徒が描いたスケートです。

同じ大きさの円で比べることで、それぞれの岩石が持つ「顔」つきの違い、つまり鉱物の粒の集まり方(組織)の違いが、一目瞭然になります。

岩石の兄弟?マグマが冷えた場所で変わる物語

例えば、こちらの2つの岩石を見比べてみましょう。一つは、白っぽい粒や黒い粒がモザイクのように集まっている「花崗岩(かこうがん)」。

もう一つは、全体的に灰色で、大きな粒がところどころに散らばっている「流紋岩(りゅうもんがん)」です。

見た目は全く違いますが、実はこの2つ、もとをたどれば同じ成分のマグマから生まれた、いわば兄弟のような存在なのです。

では、なぜこんなに見た目が違うのでしょうか?その秘密は、マグマが冷え固まった「場所」と「時間」にあります。

花崗岩は、地下の奥深くで、長い時間をかけてゆっくりと冷え固まりました。そのため、鉱物の粒が大きく成長する時間的余裕があり、粒の大きさが揃った「等粒状組織(とうりゅうじょうそしき)」になります。まるで、みんなでじっくり大きくなった、仲良しの結晶たちですね。

一方、流紋岩は、マグマが地表近くで急激に冷やされて固まりました。先にできていた大きな粒(斑晶)と、あとから急いで固まった細かな粒(石基)が混在した「斑状組織(はんじょうそしき)」になります。慌てて固まった様子が目に浮かぶようです。

こちらが、生徒が描いた流紋岩のスケッチ。大きな粒と小さな粒が混ざっている様子が、とてもよく捉えられていますね。

このように、手作りのスコープで覗き、スケッチをすることで、ただの石ころから地球内部の壮大なドラマを読み解くことができるのです。写真を撮るのとは違い、自分の手で描くことで、より深く特徴を理解できるのも、スケッチの面白いところです。皆さんもぜひ、身の回りの石を観察して、その石がどんな物語を秘めているのか、探ってみてください!

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