【実験】手をこすると本当に温かくなる?摩擦と熱の科学(サーモグラフィー)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
寒い冬の朝、手と手をこすり合わせて「ふぅ〜」と息を吹きかけた経験、ありますよね。
「なんだか手が温かくなった気がするけど、本当に熱が出ているのかな?」
そんな素朴な疑問を、科学の目で見てみましょう。今回は、こすり合わせた手のひらに一体何が起きているのか、その不思議な現象をサーモグラフィーカメラという特別な道具を使って観察してみました。
🔥 手をこすると、なぜ温かくなる?
手と手をこすり合わせると、手が温かくなるのは、私たちの体の中に隠された「摩擦の力」のおかげです。
「摩擦(まさつ)」とは、二つの物体がこすれ合うときに働く力のこと。実は、この摩擦には、動いているもののエネルギーを「熱」に変える働きがあります。
たとえば、原始時代の人々は、木と木をこすり合わせて火を起こしました。あれも、まさしく摩擦の力を利用しているのです。手と手をこすり合わせるという簡単な動きでも、同じことが起きています。私たちの手の動きのエネルギーが、摩擦によって熱エネルギーに変わり、手のひらをじんわりと温めているのです。
この現象は、日常生活の色々な場所で見られます。
車が急ブレーキをかけると、タイヤやブレーキパッドが熱くなります。流れ星が夜空で輝くのは、宇宙のチリが大気と激しく摩擦を起こして熱をもち、光っているためです。
🌡️ サーモグラフィーで温度を測ってみよう
では、実際にどのくらい温度が上がるのでしょうか?
サーモグラフィーカメラという、熱の様子を色で可視化できる特殊なカメラを使って、実験をしてみました。
手をこする前
サーモグラフィーの画面を見ると、手のひらが青や紫っぽい色になっています。これは温度が低いことを示しています。
手をこすった後
たった数秒こすり合わせただけで、手のひらの色が黄色や赤に変わりましたね。これは温度が上がったことを示しています。実際に計測すると、なんと1℃くらいも温度が上昇していました!
もっとこすると…
さらにこすり続けると、手のひらが真っ赤になっています。これはさらに温度が上がったことを示しています。
普段は感じることのできない、手のひらで起きている熱の動きが、サーモグラフィーを使うとこんなにもはっきりと見えてくるのです。
💡 身近な科学を観察する
今回使った #サーモグラフィー (中〜遠 #赤外線カメラ )は、少し前だと2桁はしていたのに驚きです。こちらはライトニングケーブルやUSB Cで接続できるものがあります。
FLIR one PRO
楽天でも売られていました。→ FLIR ONE Pro for iOS 435-0006-03 ( 435000603 ) フリアーシステムズジャパン(株)
接続の口にご注意ください。こちらはタイプCのものです。
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手のひらの温度を上げた「摩擦」という力は、私たちの身の回りのあらゆる場所で働いています。この小さな実験から、目に見えないエネルギーの変換という大きな科学の法則を感じてもらえたら嬉しいです。
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