“ここに入るのは何色何形?”色パズルから始める周期表授業(メンデレーエフ)
周期表ってパズル?〜“見えない元素”を見つける授業アイデア〜
中学2年の理科で扱う「化学変化と原子・分子」の中でも、周期表の単元はどう教えるか迷いやすいテーマの一つです。「縦の列(族)や横の列(周期)で性質が似る」と言われても、パッとイメージできずに、生徒の反応が鈍い…。そんな経験はありませんか?
また周期表は新しいものも出てきており、周期的にいかに並べられるか?がポイントで唯一正解の周期表を覚えるというだけではないという面白さもあります。たとえば次のような周期表があります。
今回、先輩のY先生から紹介していただいた教材を使って授業をしてみたところ、生徒たちの目が輝きました。実はその教材、周期表の仕組みを“図形パズル”で体感できるというもので、「なぜ周期表が並んでいるのか」を感覚的に理解させるのにとても効果的だったのです。
● 教材の概要
教材には、さまざまな【色】【形】【大きさ】の図形が描かれたカードがセットになっています。三角形・四角形・円などの図形が、赤や青、大小さまざまなサイズで用意されており、生徒たちはこれを自由に並べるところからスタートします。
● 活用の手順(授業準備と進め方)
1. カードを印刷して切る(人数分+予備)
• 形・色・大きさがバラバラになるように30枚以上はあるとよい。
2. グループに分けて、並べ方のルールを考えさせる
• 例:色→形→大きさの順で変化するように並べる、など
3. あえてカードを1〜2枚欠けさせる
• 並べていくうちに、「ここに入るのは△色の○形の□サイズのカードだ!」と推理が始まる。
4. 並べ終えたら、欠けたカードの予測と理由を発表させる
• 「ここに小さい赤い三角が入るはずです。なぜなら…」というように、論理的な説明を促す。
5. 周期表との関係に気づかせる
• 「昔の科学者もこんなふうに、まだ見つかっていない元素の性質を予測していたんだよ」とつなげて解説。
● 授業での反応と学び
生徒たちは「空いているところに入りそうなカードは何か?」と夢中で考えます。ただの並べ替え遊びに見えて、そこには【分類】【法則性の発見】【論理的推論】が詰まっています。
こう並べるの?
こう並べる?
実際に授業では、「ここに入るのは赤い小さい三角形じゃない?」「うわ、本当にそうだ!」という声が飛び交いました。この「パズル感覚」で体験した学びが、そのまま周期表の本質に接続されていくのです。
メンデレーエフが未発見の元素の存在を周期表から予測し、それが実際に発見されてきたという話をすると、生徒たちの理解は一気に深まりました。
おわりに:理科を“感じさせる”授業へ
この教材の優れている点は、「感覚的な体験」を通して「理論的な理解」へと自然につなげられることです。周期表の並びが「ただの暗記」ではなく、「科学的な推理の結果」であることを、実感として生徒に伝えることができます。
印刷と準備も簡単なので、ぜひ中学2年生の周期表の導入に活用してみてください。ちょっとした工夫で、理科がもっとおもしろくなるはずです。
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