振って、押さえて、解き放て! コーラを使った火山(マグマ)の噴出モデル実験!
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
コーラを使って、地球のダイナミックな活動である「火山噴火」の仕組みを、安全(!?)に再現できるんです。今回は、身近な炭酸飲料がどうして爆発的な力を秘めているのか、その秘密に迫りながら、エキサイティングな科学実験をご紹介します!なおこの実験は実習生のTさんとSさんと一緒に行い、分量や穴の大きさなどを研究したものです。ご参考になさってください。
【準備するもの】
・700mlのコーラ(350mL,500mLなどありますが、大きさで噴火の勢いを変化させることができます)
・ハンダゴテ(または、きりや画鋲など、蓋に小さな穴を開けられるもの)
・(重要!)汚れてもよい服装と、実験を行う広い場所(お風呂場や、できれば屋外がベストです) 学校で行う場合は必ず予備実験をしましょう。私たちも一度失敗をしました。
【実験手順】
① コーラのふたに、ハンダゴテやきりなどで小さな穴を開けます。 (※火や刃物を使うときは、必ず大人の人と一緒に行いましょう)
穴のサイズで噴火の強さが変化します。
② コーラをラベルの上あたりまで飲みます(または、捨てます)。ボトルの中に、空気の層(空間)を作ることが目的です。
③ 穴あきの蓋をしっかりと閉めます。 開けた穴を親指でしっかりと押さえながら(または養生テープなどを穴に貼っておいて)、コーラを激しく振ります!5秒ほど、よーく振りましょう。
④ ボトルを床や地面に置きます。 心の準備ができたら、押さえていた指を一気に離します!(または養生テープを一気に取ります)
⑤ 噴火が始まります!
【なぜ噴火したの? コーラに隠された「圧力」の秘密】
みなさんがYoutuberの動画などでよく目にする「メントスコーラ」の実験に似ていますね。コーラには、「二酸化炭素(CO2)」という気体が、高い圧力をかけられて無理やり押し込まれています(液体に溶け込んでいる状態です)。
① 実験手順③(振る) ペットボトルを振ると、コーラ(液体)に溶けていた二酸化炭素が刺激され、一気に液体から飛び出して「気体」に戻ろうとします。
② ボトル内の圧力上昇 液体から飛び出した気体の二酸化炭素は、上の空けておいた空間に集まります。 振れば振るほど、この空間に気体が充満し、ボトルの中は非常に高い圧力(パンパンの状態)になります。
③ 実験手順④(指を離す) 指を離すと、高い圧力から低い圧力(ボトルの外の「大気圧」)に向かって、一気に流れ込もうとする道ができます。 この時、ボトルの中の気体は、コーラの液体も巻き込みながら、小さな穴からものすごい勢いで噴き出すのです!さらに、中の圧力(内圧)が急激に下がることで、まだコーラの中に溶けていた二酸化炭素も「もう我慢できない!」とばかりに次々と気体になり、これが連鎖的な反応につながり、爆発的な噴火を継続させる力となります。
【これぞ火山の仕組み! コーラが「マグマ」になる瞬間】
この実験、実は実際の火山の噴火モデルとして非常に優れています。
ペットボトルの中 = 地下深くの「マグマだまり」
コーラ = 「マグマ」
溶けている二酸化炭素 = マグマに溶けている「水(H2O)」やガス
普段、マグマは地下深くで高い圧力によって、水やガスを溶かし込んだまま安定しています。しかし、何かのきっかけでマグマが地上に近づいたり、圧力が下がったりすると、溶けていた水が一気に「水蒸気(気体)」に変わります。水は、液体から気体(水蒸気)になると、体積が約1700倍にも膨れ上がります! このすさまじい膨張の力が、マグマを激しく火口から噴き出させる「噴火」の原動力なのです。
【おまけ:「軽石」もできる?】
実験が終わった後、コーラの中を見ると、たくさんの泡が残っていますね。 もし、この「泡だらけのマグマ(コーラ)」が、噴き出した瞬間に急激に冷やされて固まったら……?そう、それが「軽石(かるいし)」です。軽石が水に浮くのは、この「泡(ガスの抜け跡)」がたくさんあるからなんですね。
簡単な実験ですが、地球のエネルギーを体感できる奥深い実験です。 ※ 必ず、汚れてもよい安全な場所で、親子でチャレンジしてみてください!
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