指先に稲妻を!科学の魔法「プラズマボール」の正体に迫る(避雷針の仕組み)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

まるで魔法の光、指先に集まる稲妻の正体とは?

皆さんは、ガラスの球体に指を近づけると、まるで生きているかのように光の筋が指先に集まってくる不思議なオブジェ、「プラズマボール」をご存知ですか?その幻想的な光景は、一度見たら忘れられない、まるで魔法かSF映画のワンシーンのようです。

先日、久しぶりに「つくばエキスポセンター」を訪れたとき、このプラズマボールと再会しました。その時の映像がこちらです。

科学館に設置されているものはやはり大きく、その光のダンスは見応えがありますね。

実は、このプラズマボールは私にとって、科学への好奇心の扉を開けてくれた、思い出深い品なのです。群馬県の生涯学習センターという科学館のすぐ近くで育った私は、子どもの頃、そこに常設されていたプラズマボールや、静電気を起こすパスカル電線などで遊ぶのが大好きでした。なぜ光は指に吸い寄せられるのだろう?触っても大丈夫なのはなぜ?そんな素朴な疑問が、今の私に繋がっているのかもしれません。プラズマボールを見るたびに、あの頃のワクワクした気持ちが鮮明によみがえります。

指先が避雷針に?手に寄ってくる光の不思議

プラズマボールの最大の魅力は、何と言っても指をかざすと光がまるでペットのように懐いてくることです。もちろん、触っても全く痛くありません。

この現象の裏には、巧妙な科学の仕組みが隠されています。

まず、ガラス玉の中は「プラズマ」という特殊な状態で満たされています。プラズマは、固体・液体・気体に次ぐ「物質の第4の状態」とも呼ばれ、気体がさらにエネルギーを加えられて電離(イオン化)した状態です。実は、夜空に輝く星々や、あの雄大なオーロラもプラズマが作り出す現象なのです。

プラズマボールの中では、中心の電極から高周波の電圧がかけられ、プラズマの中を電気が常に流れようとして、あの美しい光の筋が生まれます。

では、なぜ指を近づけると光が集まるのでしょうか?それは、「電気はより流れやすい場所を好んで通る」**という性質があるからです。私たちの体は電気を通しやすい導体です。ガラス玉に触れると、行き場を探していた電気が、最も流れやすい「人間の体」というルートを見つけ、一斉に集まってくるのです。そして、電気は私たちの体を通って地面へと抜けていきます。

驚くべきことに、このとき私たちの指は、雷から建物を守る「避雷針」とほとんど同じ役割を果たしているのです。空中の膨大な電気が、最も通りやすい避雷針に集中して落ちるのと同じ原理が、この小さなガラス玉の中で起こっていると考えると、なんだかワクワクしませんか?

より専門的な説明は、こちらのリンクも参考にしてみてください。プラズマボールについて

身近な科学!スマホから宇宙まで繋がるプラズマの世界

見ているだけでうっとりするプラズマボールですが、この「電気の流れやすさ」を利用した技術は、私たちのすぐそばにもあります。例えば、スマートフォンのタッチパネル(静電容量方式)もその一つ。画面に指が触れると、そこだけ静電気の状態が変化し、その位置を特定する仕組みです。プラズマボールとスマホが、同じ科学の原理で繋がっているなんて面白いですよね!

この科学の不思議を、ぜひご家庭でも体験してみてはいかがでしょうか。実は、プラズマボールは意外と手頃な価格で、なんと1000円程度から手に入れることができます。私も実際に購入して授業で生徒たちに見せたところ、初めて見るその光景に誰もが目を輝かせて感動していました。

「なぜ?」という知的好奇心は、最高の学びの入り口です。私がアマゾンで購入したものはこちらです。

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ガラス玉の中に広がる小さな宇宙。科学の不思議を体感できるプラズマボールで、日常に科学の感動をプラスしてみませんか?

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