「パカッ」でわかる水圧の正体!円筒形容器を使った水圧測定実験の方法

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

~水槽と円筒容器を使った水圧測定実験~

水圧って、教科書で読んでもいまいちピンと来ない…そんな声、理科教師なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。でも、もしその「水圧」が目に見えるようになったら?そして、音や動きで“実感”できたら?今回は、中学生にも直感的に理解しやすい「水圧」の実験をご紹介します。題して「パカッと水圧測定装置」!

シンプルな材料で構成されたこの実験は、水圧が深さによって変化する様子を、感覚的かつ定量的に捉えることができる優れものです。生徒の「なるほど!」を引き出すにはぴったりの内容です。

◆ 準備するもの

• 水槽(ある程度深さのあるもの)
• 円筒形容器
• フタになる円盤(容器の底をぴったり塞げるサイズ)
• おもり:35g × 1個、70g × 3個
• メジャーまたは定規
• グラフ作成用にPCやスプレッドシートなど

◆ 実験の概要と手順

1. 装置の準備

円筒容器の底に円盤を乗せ、その上におもりを載せます。円盤は水圧によって下から押し上げられ、一定の深さまでは浮き上がりません。

2. ゆっくり沈めていく

容器全体を静かに水中に沈めていくと、ある瞬間、「パカッ」と円盤が外れて下に落ちます。このときの深さを測定します。

3. データを記録する

おもりの重さと、円盤が外れたときの深さを記録します。おもりを変えて複数のデータをとります。

◆ 仕組みを考えよう

実験では、円盤が外れる瞬間=水圧による力と重力がつり合った瞬間です。

つまり、

水圧による力 = おもりの重力

この関係から、水圧による力を求めるには「おもりの重さ(力)」を知ればよく、それを**円盤の面積で割れば圧力(Pa)**を算出できます。

蓋が落ちる前の力のバランスを考えると、

水圧による力=重力+円盤を押す力

となってます。また落ちる瞬間の力の大きさを考えてみると、水圧による力と重力がつり合うということがわかります。

このときの力のバランスを考えると、

水圧による力=重力

となるので、水圧による力を測るためには、重力を計れば良いということになります。また水圧による力がわかれば、それを円盤の面積で割ることによって、その時の圧力を求めることができます。

実際にデータを測定すると次のようになります。なお円筒形の直径が6.6cmくらいなので、半径は3.3cmとなります。なお、円盤の半径は3.3cm(直径6.6cm)なので、

面積は

π × 半径² ≒ 3.14 × (3.3 cm)² ≒ 34.2 cm² ≒ 3.42 × 10⁻³ m²

◆ 横軸は深さ?圧力?

通常のグラフは、変えた量を横軸(x)、**測定した量を縦軸(y)**にとります。

1cmあたり100Paずつ増えている様子がわかりますね。普通グラフは、変えたものをx軸に、測定したものをy軸に書きますが、この場合は深さを横軸にとった方がわかりやすいグラフになるのでしょうか。ちょっと気になっているところです。

水圧測定実験の説明用の絵はこちらです。適宜編集して使えます。

◆ まとめ

この「パカッと水圧実験」は、

  • 水圧が深さに比例することを目で見て体感できる

  • 力のつり合いの概念が自然と理解できる

  • 圧力の式 P = F / S の意味が実感として残る

と、理科の本質的な理解に役立つ授業ネタです。準備もシンプルなので、ぜひ一度お試しください!

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