葉っぱの中に世界があった!オオカナダモ細胞探検(観察の注意点等)

桑子研
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オオカナダモで細胞観察!葉緑体と核が見えるか挑戦!

中学理科の定番実験のひとつ、「細胞の観察」。この単元ではタマネギの表皮細胞を使うことが多いのですが、題材としておすすめなのが オオカナダモ です。買うこともできるし、どこかで繁殖している可能性も高いので、拝借できることも多く、調達も比較的ラク。しかも、自ら光合成をしている「今生きている細胞」 を観察できるので、授業のインパクトも大きくなります。

今回は、そんなオオカナダモを使って、葉緑体の動きや核の観察に挑戦してみました。観察の準備や染色の工夫など、授業ですぐに活かせる手順を紹介します!

【準備するもの】

• オオカナダモ(柔らかめの葉先を使用)
• ピンセット
• ペトリ皿(+水)
• スライドガラス、カバーガラス
• 柄付き針
• コマゴメピペット
• ろ紙
• 酢酸カーミン(染色液)
• 顕微鏡(400倍まで対応)

【観察までの手順】
1. オオカナダモの葉を採取

葉先の柔らかい部分をピンセットで2〜3枚選び、水を張ったペトリ皿に入れておきます。

2. プレパラート作成(無染色)

やわらかそうな葉を1枚、スライドガラスにのせ、コマゴメピペットで水を1滴たらします。柄付き針とピンセットを使ってカバーガラスを静かにかぶせ、はみ出した水はろ紙で吸い取ります。

 

3. プレパラート作成(染色)

別の1枚には、酢酸カーミンを1滴たらしてカバーガラスをかけます。ろ紙で余分な液をとったら、3分ほど放置してから観察します。

【観察と倍率の工夫】

まずは接眼10倍 × 対物4倍=40倍で全体像を確認。次に対物レンズを10倍にして100倍で細胞の構造が少しずつ見えてきます。最後に、対物レンズ40倍に切り替え400倍で細胞の詳細を観察します。

※高倍率時はプレパラートとレンズの接触に注意!

横から見て、レンズがギリギリまで近づいたら、そこからゆっくり離しながらピントを合わせるのがコツです。

【観察結果】
• 無染色のプレパラートでは、葉緑体がはっきり観察でき、光合成をしている様子をイメージさせることができます。

• 染色した方では、核の観察ができる…はずだったのですが、今回はあまりはっきり見えず。染色時間や葉の厚さに左右されるのかもしれません。
→ タマネギの細胞のほうが核がクリアに見える印象です。

【授業でのポイント】
• 40倍→100倍→400倍と段階的に観察を進めることで、「見えるようになる」体験を積み重ねられます。

• 葉緑体が実際に動いているようすが観察できることもあるので、「生きている細胞」の迫力を味わえます。

• 染色による観察は時間配分や液量の調整がポイント。一度教師が試しておくとスムーズに授業に活かせます。

オオカナダモを使った細胞観察は、準備も比較的簡単で、理科室にある材料だけで実施可能。葉緑体の観察だけでなく、染色で核にも挑戦できるので、理科の「見る」学習にぴったりです。観察後には、タマネギとの違いや、染色の意味などを生徒と話し合うと理解も深まりますよ!

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