名探偵コナンに学ぶ!乾電池とガムの包み紙で発火する科学の謎

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

読者の皆さん、こんにちは!名探偵コナンのように、身の回りにある不思議な現象の謎を解き明かすのが好きな理科教師の桑子です。皆さんは、単行本100巻に登場した「乾電池とガムの包み紙でショートカイロを作る」実験をご存知でしょうか?

実習生がこの面白いネタを教えてくれたので、実際にやってみました。電池の両端にガムの包み紙を当てて強く握ると、なんと包み紙が燃え始めたのです! なぜこのようなことが起きるのでしょうか?そして、なぜ電池パックと導線では同じように発火しないのでしょうか?

この現象の鍵は、電気抵抗と熱にあります。

ガムの包み紙は、内側が薄いアルミニウム箔で、外側が紙でできています。このアルミニウム箔を乾電池のプラス極とマイナス極に直接つなぐと、電流が流れます。この時、包み紙の中央部分を細くしておくと、そこだけ電流が通りにくくなり、電気抵抗が大きくなります。

電気抵抗が大きい場所に電流が流れると、そこで電気が大量に熱へと変換されます。これが「ジュール熱」と呼ばれる現象です。細くした部分の電気抵抗が非常に大きいため、発生する熱が紙の燃焼温度を上回り、あっという間に発火してしまうのです。一方、乾電池パックと導線を使った場合は、導線の電気抵抗が非常に低いため、導線からは熱がほとんど発生しません(乾電池が熱くなります)。電気は抵抗の少ない道を選んで流れるため、導線が熱くなることはなく、発火には至らないのです。

この実験は、乾電池と身近なもので簡単にできる一方で、電気の性質である「電気抵抗」と「熱」の関係を直感的に理解できる、とても興味深いものですね。皆さんも、身の回りにある科学の不思議を探してみてはいかがでしょうか?

お問い合わせ・ご依頼について

科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・運営者・桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中

科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!