手の中で地震発生!?指先で感じる「プレートのひずみ」実験

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「地震はなぜ突然起きるの?」その仕組みを言葉だけで説明するのは、私たち理科教師でもなかなか骨が折れるものです。地面の下で何が起きているのか、目に見えないからこそ怖いし、理解しにくいですよね。それなら、手の中で地震を起こしてしまえばいいのです。

今回は、素晴らしい教材開発で知られる岸正太郎先生のペーパークラフトをご紹介します。これを作れば、地震発生の瞬間、地面の下でどんな力が働いているのかが「体感」できますよ。

岸正太郎先生の傑作教材に挑戦!

岸先生のペーパークラフト教材はどれも構造が秀逸なのですが、今回はその中から「地震の仕組み」がわかるモデルを作ってみました。実はこの教材、プレートのひずみと反発を見事に再現しているんです。 型紙は岸先生のブログで公開されていますので、ぜひダウンロードしてみてください。https://ameblo.jp/wakaru-rika/entry-12535747502.html

製作のコツは「折り目」にあり

構造が少し複雑で立体的なので、組み立てにはコツがいります。製作過程を写真で解説していきましょう。まず大切なのは、山折り・谷折りのラインに合わせて、定規などを当ててピシッと折り目をつけることです。ここを丁寧にやるかどうかで、完成後の「地震の動き」のスムーズさが決まります。

まずは切り離して、

このように組み上がってきました。 ここで一つ注意点です。ノリ付けをして固定してしまう前に、写真のように紙の「輪っか」部分を通して入れ込んでおく必要があります。

ここが地震のエネルギーを溜め込む重要なパーツになります。

「バチン!」が教える地震の正体

これで完成です! さて、ここからが理科の実験の時間です。このペーパークラフトはただの模型ではありません。一方の紙(海洋プレート役)をゆっくりと動かしてみてください。 すると、もう一方の紙(大陸プレート役)が摩擦で引っかかり、ズルズルと引きずり込まれていきます。

紙全体が少しずつ弓なりに歪んでいくのがわかりますか? これが、地球の地下で起きている 「エネルギーの蓄積(ひずみ)」 です。

そして、さらに動かしていくと……限界に達した瞬間。バチン!!

と音を立てて、大陸プレートが元の形に戻ろうとして弾けます。 これこそが大地震の発生です。

ノートに貼れる「飛び出す」実験室

理科の授業では「プレートが跳ね上がる」と口で説明しても、生徒たちはポカンとしがちです。でも、このペーパークラフトなら、指先に伝わる抵抗感と、弾ける衝撃で 「地震=バネのような反発力」 だということが直感的に理解できます。

イメージできると、理科は急に面白くなりますよね。

私は授業中、生徒たちにこれを作らせて、そのままノートに貼り付けさせています。 教科書を開くたびに地震の仕組みをおさらいできる、飛び出す絵本のようなノートの完成です。

大人も子供も「なるほど!」と声が出るこの教材、ぜひお試しあれ。

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