【科学監修】なぜメントスコーラは噴き出すの?お笑いコントに隠された科学の秘密「ドリフに大挑戦」
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
皆さんは、テレビで見るお笑いのコントに、科学が隠されていると考えたことはありますか?実は先日、そんな「笑い」と「科学」が融合した人気番組の裏側を、少しだけお手伝いしてきました。
2023年7月17日に放送された「ドリフに大挑戦!夏だ!コントだ!大笑いSP」という番組で、僭越ながら科学監修を担当させていただいたのです。アドバイスをしたのは、劇団ひとりさんとアンタッチャブルの柴田さんが繰り広げるコント。放送では一番初めに登場しました!

眠気との戦いは科学実験で!?
コントの舞台は大学の研究室。「大学は大変、寝ちゃダメ!」というテーマで、レポート作成中に眠ってしまった相手を、奇想天外な科学実験で起こそうとするドタバタ劇です。
番組で採用されたのは、皆さんも一度は耳にしたことがあるかもしれない、あの2つの実験でした。
一つは、ペットボトルロケット。水を噴射して相手をビショビショに…という古典的な笑いですが、これぞまさに物理法則の塊です。ロケットが前に飛ぶのは、水を勢いよく後ろに噴射する「作用」に対して、その反対方向に同じ大きさの力「反作用」が働くから。かの有名なニュートンの運動法則が、コントの笑いをしっかり支えていたのです。
もう一つは、メントスコーラ!コーラにメントスを入れると、ものすごい勢いで泡が噴き出す、あの大迫力の現象です。なぜあんなことが起きるのでしょうか?秘密はメントスの表面にあります。実は、メントスの表面は目に見えないレベルでザラザラしていて、無数の小さな穴が空いています。この穴が、コーラに溶けている二酸化炭素を一気に気体にするきっかけ(専門用語で「核形成」と言います)となり、爆発的な発泡を引き起こすのです。
お台場のフジテレビで行われた収録は、これらの実験が見事に決まり、現場も大盛り上がりでした!
放送されなかった幻の科学実験
実は、このコントのために、もう一つ秘密兵器を準備していました。それは「バンデグラフ」という静電気を発生させる装置です。
これを動かして金属の球に触れると、体に静電気がたまり、髪の毛がフワーッと逆立つ、あの面白い現象が起きます。これで眠気を覚まさせよう!という作戦でした。リハーサルではとても良い絵が撮れていたのですが、残念ながら放送ではカットされてしまいました。コント作りは、たくさんの素材の中から最高の瞬間を繋ぎ合わせていく作業。今回はご縁がありませんでしたが、これもテレビ制作の面白いところですね。
久しぶりにドリフの世界に触れることができ、懐かしさと共に、時代を超えて愛される笑いの力を改めて感じた、貴重な体験となりました。身の回りにある「なぜ?」を少し掘り下げるだけで、世界はもっと面白く見えてきます。皆さんも、日常に隠れた科学のタネを探してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ・ご依頼について
科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中!
科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!


