【科学監修】『タイムショック』で出題! ただの暗記じゃない、理科の「あの言葉」が教えてくれる世界の仕組み(等速直線運動)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
皆さんは、乗り物に乗っているとき、ふと不思議に思ったことはありませんか?「新幹線はあんなに速いのに、どうして車内では静かに本が読めるんだろう?」「動き出したエレベーターが、すーっと上がっていくときは体が軽く感じるのはなぜだろう?」
日常にあふれるこんな「なぜ?」には、実は物理の面白い法則が隠れています。先日、そんな科学の基本にまつわる言葉が、あるクイズ番組で登場しました。今回はその話題をきっかけに、私たちの世界を動かすルールについて、少しだけ探検してみましょう。
クイズ番組で見かけた「あの」理科用語
9月21日に放送されたクイズ番組「ザ・タイムショック」の3時間特番で、私が作成した「等速直線運動」の実験動画を提供しました。ひろゆきさんとえなりかずきさんのクイズバトルの中で、「Q. 速さが一定でまっすぐ進む運動は?」という問題が出題されたのです。

答えは、もちろん「等速直線運動」。しかし、残念ながらお二人とも答えることができませんでした。こちらが、そのときに提供した動画です。
この結果を見て、私は「これは難しい問題だな」と改めて感じました。なぜなら、この言葉は単に暗記するだけでなく、その「意味」を理解することが大切だからです。
「ありそうで、ない」!?等速直線運動の不思議
「等速直線運動」とは、その名の通り「速さが一定」で「まっすぐ進む」運動のこと。言葉にすると簡単ですが、実は私たちの身の回りでは、完璧な等速直線運動を見つけるのは至難の業です。
なぜなら、地球上には摩擦や空気抵抗という「ブレーキをかける力」が常に働いているから。ボールを転がしてもいつかは止まりますし、自転車も漕ぐのをやめれば減速しますよね。
では、どんなものが近いでしょうか?例えば、工場のベルトコンベアや、一定の速さで動くエスカレーター。そして、究極の等速直線運動は、一度エンジンを吹かせば抵抗なくどこまでも進んでいく、宇宙空間の探査機です。
そう、この運動は、あらゆる力の影響を受けない「理想の状態」なのです。物理学では、このシンプルな状態を基準(ものさし)にすることで、加速したり曲がったりする複雑な運動を分析していくのです。
「慣性の法則」へとつながる物語
そして、この話は「慣性の法則」という、さらに大きな物語へとつながります。これは、「物体は、外部から力が加わらない限り、静止し続けるか、等速直線運動を続ける」という法則です。
急ブレーキをかけた電車で体が前に倒れそうになるのは、電車は止まっても、私たちの体は「等速直線運動を続けたい!」と頑張っている証拠。これも慣性の法則が引き起こす現象です。つまり、「等速直線運動」という言葉を知っていることは、身の回りの「なぜ?」を解き明かすための重要な鍵を握っていることになるのです。
クイズでは瞬間的に言葉を答える必要がありますが、もし私が問題を作るとしたら、「この台車の速さはどうなっている?」と現象そのものを問うたり、「電車が急ブレーキをかけると体が前に倒れるのはなぜ?」と、日常と科学をつなぐ問いかけをしたいな、と感じました。
一つの言葉から、宇宙の法則や日常の不思議まで、科学の世界はどこまでも広がっていきます。クイズをきっかけに、そんな科学の面白さに触れてみるのも、きっと素敵な体験になるはずです。
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