スマホが突然圏外に!?日常に潜む「見えないバリア」静電遮蔽の実験
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
皆さんは、エレベーターに乗った瞬間にスマートフォンの電波が弱くなったり、圏外になったりした経験はありませんか?実はあの現象、ただの「電波が届きにくい場所」というだけではなく、科学の非常に面白い力が働いているからなのです。今回は、私たちの暮らしを守り、便利にしてくれている「見えないバリア」の正体についてお話しします。
電波を跳ね返す「見えない壁」!静電遮蔽の不思議
金属で包まれると、電波が外に出て行ったり、中に入ったりすることができなくなる現象があります。これを科学の言葉で静電遮蔽(せいでんしゃへい)、あるいは電磁シールドと呼びます。「難しそうな名前だな」と思うかもしれませんが、実は皆さんのキッチンにも、この仕組みをフル活用している家電があります。それが電子レンジです。
電子レンジのドアをよく観察してみてください。ガラスの内側に、細かな金属の網目があるのがわかりますか?


「隙間があるなら、そこから電波が漏れてしまうのでは?」と不安になるかもしれませんが、ご安心ください。電子レンジに使われているマイクロ波(電波)は、その網目の穴よりもずっとサイズ(波長)が大きいため、網を通り抜けることができずに跳ね返されてしまうのです。この網があるおかげで、強力な電波が外に漏れ出すのを防ぎつつ、私たちは中の料理が温まる様子を安全に見守ることができるというわけです。
自宅でできる!スマホを使った「バリア」の実験
この「静電遮蔽」の力は、身近なもので簡単に確かめることができます。用意するのは、アルミ箔です。 スマートフォンをアルミ箔でくるっと隙間なく巻いてみてください。すると、それだけでスマホは強制的に圏外になります。やってみると薄いアルミホイルを巻くだけで、圏外になることに驚きます。実際に別の電話からそのスマホにかけてみても、呼び出し音は鳴りません。アルミ箔という薄い金属の膜が、電波を完璧に遮断するシールド(盾)として機能した証拠です。これこそが静電遮蔽のパワーなのです。
国立科学博物館で見つけた「金属ザル」の魔法
先日、上野の国立科学博物館へ行った際、この静電遮蔽を体験できるとても面白い展示がありました。なんと、鳴っているラジオの上に「金属製のザル」をパカっとかぶせるだけの実験です。ザルをかぶせた瞬間にラジオの音が消え、外すとまた聞こえ始める……。
「ただのザルなのに、電波を捕まえてしまうなんて!」と、その場にいた子供たちも目を輝かせて何度も試していました。特別な機械を使わなくても、台所にある道具一つで科学の原理を体感できる。これこそが実験の醍醐味ですね。
「見えない盾」が支える私たちの未来
この静電遮蔽の技術は、精密機器が誤作動を起こさないように守ったり、電気工事をする人が安全に作業したりするための服に応用されたりと、現代社会になくてはならない存在です。理科を学ぶと、普段何気なく使っている電子レンジやスマートフォンの裏側に、こんなにダイナミックな「科学のバリア」が潜んでいることに気づけます。皆さんもぜひ、身の回りの「金属で囲まれたもの」を探して、科学の不思議を感じてみてくださいね!
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