【物理の裏ワザ】公式暗記から卒業!「絵で解く」解法で納得度アップ!(圧力の式)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
物理の公式集を眺めながら、「この文字の羅列、一体どういう意味なんだ…」と頭を抱えてしまう夜はありませんか?特に「圧力」の分野は、公式はシンプルなのに、どこか掴みどころがないと感じる受験生が多い単元です。今回は、そんなあなたのために、多くの参考書が見落としがちな 「物理の真の姿」 を明らかにする、一つの問題を用意しました。公式をただ暗記する勉強から、物理現象を「絵」でイメージできる勉強へ。この一歩が、あなたの成績を大きく変えるかもしれません。
あなたの「物理脳」を試す一問
突然ですが、あなたはこの問題を5分以内に、自信を持って解くことができますか?
問題 水平な地面の上に4m2の板をおいた。この板にはたらく大気圧による力の大きさを求めなさい。ただしこの場所の大気圧を1.0×105Paとします。
いかがでしょうか。多くの受験生が、次のように参考書の模範解答通りの解き方をしたはずです。
数式を使った解き方(多くの参考書が示す道)
圧力の式 P = F/S を、力Fについて解くと F = PS となる。
(P = 1.0×105 Pa, S = 4 m2) を代入すると、求める力Fは、F = PS = (1.0×105) × 4 = 4.0×105 [N]
よって、答えは 4.0×105 N。
もちろん、この解き方は正しく、試験では最速で正解にたどり着けるかもしれません。しかし、この数式の操作だけで満足していては、少し応用されただけで手も足も出なくなってしまいます。物理が得意な人は、この数式の 「向こう側」 に、鮮明なイメージを見ています。
さあ、次はあなたの番です。この問題を「絵」を使って、物理現象そのものを描き出しながら解いてみてください。
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物理の本質に迫る「絵」を使った解法
物理が苦手だと感じている人ほど、数式を暗記して数字を代入する「作業」に終始しがちです。しかし、物理とは本来、自然現象をシンプルに表現するための言葉です。その言葉の意味を、絵で紐解いていきましょう。
絵を使った解き方(物理現象をイメージする道)
まず、「1.0×105 Pa(パスカル)」とは何かを翻訳します。Paの定義は [N/m2]、つまり「1m2あたりに、どれだけの力がかかっているか」を示す単位です。ということは、「1.0×105 Pa」とは、「タテ1m、ヨコ1mの正方形の板(面積1m2)には、1.0×105 N の力が垂直にかかっている」という情景そのものを表しているのです。
この「基本の絵」さえ頭にあれば、もう問題は解けたも同然です。今回の問題で考える板の面積は 4m2。これは、先ほどの1m2の板がちょうど4枚分あるのと同じことです。
1枚あたりに 1.0×105 N の力がかかるのですから、それが4枚あれば、合計の力は単純に4倍になりますよね。したがって、
F = (1m2あたりの力) × (面積) = 1.0×105 [N/m2] × 4 [m2] = 4.0×105 N
となります。F=PSという公式は、この当たり前の計算を、文字でスマートに表現してくれているに過ぎないのです。
ストーリーで深める物理:僕らは「空気の海」の底にいる
ここで少し、この問題の世界を広げてみましょう。4.0×105 N という力、一体どれくらいの大きさか想像できますか?1kgの物体にかかる重力が約9.8Nなので、ざっくり10Nとすると、これは約40,000kg、つまり40トンの質量に相当します。これは、大型トラックや、アフリカゾウ数頭が板の上に乗っているのと同じくらいの、とてつもない力です。
では、なぜ板は壊れないのでしょう?なぜ私たちは空気の重さで押しつぶされないのでしょう?それは、大気圧が板の上からだけでなく、下から、横から、あらゆる方向から等しくかかっているからです。板の下からも同じ力で空気が押し返しているため、力がつり合って、板は壊れないのです。
私たちは普段意識していませんが、地球を覆う「空気の海」の、そのずっと深い海の底で生活しています。頭の上には、何十kmも続く空気の柱が乗っかっている。大気圧の問題を解くとき、この壮大なイメージを持つことができれば、あなたはもう物理の面白さの入り口に立っています。
公式は、この壮大な自然の営みを解き明かすための便利な「道具」です。しかし、道具の使い方だけを覚えても、何のためにそれを使うのかはわかりません。ぜひ、すべての公式の向こう側にある「絵」や「ストーリー」を想像する癖をつけてみてください。そのとき、物理は無機質な暗記科目から、世界の見え方を変えるエキサイティングな科目へと姿を変えるはずです。
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