荷物を持って仕事率を測定!エレベーターとエスカレーターの意外なパワー対決
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
毎日当たり前のように使っているエレベーターやエスカレーター。皆さんは、これらの機械がどれくらいの「パワー」を出しているか、考えたことはありますか?
実は、物理の知識を使うと、そのパワーを数字で比べることができます。今回は、20kgのスーツケースを抱えて、身近な場所のエレベーター、エスカレーター、そして階段を使い、それぞれの「仕事率」を計算してみました。
さて、一番効率が良かったのは、一体どれだったのでしょうか?
実験!身近な場所で「仕事率」を測ってみた
物理でいう**「仕事(Work)」とは、物体に力を加えて動かしたときのエネルギーの量のこと。そして「仕事率(Power)」とは、その仕事を単位時間あたりにどれだけ行ったかを表すもので、機械の「能率」や「パワー」**を示す指標になります。
今回は、20kgの荷物(重力加速度を約10m/s²とすると、約200Nの力)を運び、以下の3つの場所で仕事率を比較しました。
駅の中
駅の外(野外)
近くの商業施設(流山おおたかの森SC)
それぞれの高さは、階段の段数と高さを測ったり、iPhoneのメジャーアプリ(意外と正確でした!)を使って概算しました。
意外な結果が明らかに!
そして、こちらがその実験結果です。
結果を見てみると、いくつかの面白い発見がありました。
エスカレーターの仕事率: 商業施設>野外>駅ナカの順になっていました。特に、駅のエスカレーターが最も仕事率が低く、ゆっくりと動いていることがわかります。これは、たくさんの人が利用する場所なので、安全性を最優先に設計されているためでしょう。
エレベーターの仕事率: 1階から2階へ行くより、1階から3階へ行く方が仕事率が大きくなりました。これは、エレベーターがより多くの階を移動するために加速する時間が長くなり、その分、短時間で大きな仕事をしているからです。
階段 vs. 機械: どの結果を見ても、人力で階段を上り下りするのは、機械に比べて圧倒的に効率が悪いことがわかります。疲れた体に鞭を打って荷物を運ぶよりも、文明の利器を使うのが賢い選択ですね!
このように、一見同じように見える機械でも、仕事率という視点で見ると、その目的や設計思想の違いが見えてきます。
今回の実験は、とても疲れましたが、日頃当たり前だと思っていたものの裏にある科学のつながりを実感できて、やってよかったと心から思いました。皆さんの周りのエレベーターやエスカレーターの仕事率はどうなっているか、ぜひ観察してみてください。
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