あれ?水面が自然に上がっていく!?スチールウールの燃焼(鉄と酸素の化合)

桑子研
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スチールウールと酸素の反応──燃焼と水面上昇の謎に迫る!

中学理科の1分野「化学変化と原子・分子」の中でも、生徒たちの関心を引きやすいのが酸化の学習です。とくに「鉄の酸化」は、目に見える変化があり、観察・考察活動にもってこいの実験テーマです。今回紹介するのは、スチールウール(鉄)が酸素と反応して激しく燃焼する実験です。ただ燃やすだけでなく、そこから水面の上昇という興味深い現象につなげることで、より深い科学的探究が可能になります。

■ 実験準備

【用意するもの】

・スチールウール(できれば少量ずつほぐしておく)
・アルコールランプまたはガスバーナー
・耐熱皿またはパット(水を張る)
・ビン(500ml程度の広口瓶が望ましい)
・耐火台(パット内に置いてスチールウールを載せる)
・ピンセット、マッチ、軍手など

■ 実験の手順

1. スチールウールをピンセットで持ち、バーナーで数秒あぶって着火します(軽く赤熱させる程度でOK)。

2. すぐに水を張ったパット内の台に載せ、上から酸素を十分に含んだビンをかぶせます。

3. しばらくすると、ビンの中でスチールウールが激しく燃焼し、水面がビンの中へとじわじわ上がってくる様子が観察できます。

■ なぜ水面が上がるのか?

これは、酸素が鉄と化学反応を起こすことによって、その分だけ気体の体積が減少するために起こる現象です。ビンの内部で酸素が消費されると、その空間の気圧が下がり、外側の水がビンの中に押し込まれるのです。

ろうそくを使った同様の実験でも水面が上昇しますが、そちらは二酸化炭素や水蒸気の発生も関係するため、より複雑なメカニズムになります。生徒たちにとっては、どちらの実験も「燃えるとどうなる?」という問いから、科学的思考を深める絶好のトレーニングとなります。

■ 指導のポイント

• 実験前に「燃えたあと、ビンの中はどうなると思う?」と予想させておくと効果的です。

• 水面が上がる理由を一つの正解に固定せず、複数の可能性を議論させる時間をとると、探究的な姿勢が育ちます。

• ろうそくの実験との比較を通して、燃焼の生成物や化学反応の違いに注目させると、思考の深まりが得られます。

理科の授業の醍醐味って、こういう「なんで!?」に出会えるところですよね。考えて、迷って、議論して、「あ、そうかも!」って思える瞬間が、きっと生徒たちの中にも残るはず。

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