数と量ってどう違うの?単位と仲良くなろう!
中学までは物理が得意だったのに、高校になると突然物理が嫌いになったという人はいませんか?
先日こんなメールが届きました(名前等一部改変)。
いつも楽しく参考にしています。現在高校2年生です。物理が得意だったのですが、高校に入っていきないわからなくなりました。計算が多くなってきているので、難しいということはわかるのですが、中学のときと同じような範囲をやっているのはわかるんです。何か中学と高校での違いのようなものはあるのでしょうか。もし時間があったら教えて下さい。
(Yさん)
Yさんとその後やりとりをしていると、単位や有効数字などでつまずいているということがわかりました。許可をいただいたので、ここに載せてみたいと思います。
高校になって突然できなくなったという人は、様々な生徒の相談から考えると、主に3つのポイントでつまずいています。これが中学と高校の違いでもあるのかもしれません。
1 数と量の違い
2 大きさと向きをもつベクトル量
3 微積などで微小な時間変化のイメージ
とくに高1で勉強をする物理基礎では、1番でつまずいているようです。中学でも必要なことだったのですが、高校だとさらに明確にわかっていないといけないのですね。またテストでも、「単位つけ忘れ」がまだまだ多いようです。
数と量の違いってわかりますか?
数学は数を扱いますが、物理では量を使います。数は1や2などの数字のことを指します。
5m/sであれば、「5」の部分が数ですね。そして「m/s」というのは、この数が何を示しているのか?を示している「単位」です。5m/sのように数に単位がついたものが「量」です。
このように物理は量を扱うので、計算結果が適正な量になっていないと、間違いかも!?と疑うことが大切です。
ですから、基本的な単位については、おおまかな大きさを頭にいれておかなければいけません。そして単位と仲良くなっておく必要があるというわけです。
例えばですが、運動方程式のところ教科書で読むと、はじめこのように書かれています。
この比例定数kが1になるように、力の単位Nは決められています。別にkを1にしなくてもいいので、その場合は力は違う単位として、扱うこともできるのですね。
でも仲良くなるの、教科書を見るとわかるように、ちょっとむずかしくて、モヤモヤするんです。
例えば長さ1mは、「光が真空中を1秒間に進む距離の299792458分の1」というように決めて使われています。なんじゃこりゃ?29979・・・???と思いますよね。
高校物理では、長さ・質量・時間・電流・温度・光度・物質量などの単位を使って、組み合わせて使っていきます(SI単位系)。まずはこれらの単位がとっても身近な量からはじまったということを知ることが大切です。
例えば長さはもともとは、18世紀末にパリを通る地球の子午線の北極から赤道までの距離の1000万分の1というように決められました。この定義なら、なんとなく納得しませんか?きれいに1000万ですし。
また時間であれば、1960年までは「1日の24×60×60分の1=1秒」と決められていました。24時間×60分×60秒というところは、1日の秒数ですね。
でも今はこれとは別の定義で使われているのです。
このように、身近なものを使って基準の長さを作って、いろいろ使ってきたものが単位のはじまりなので、まずは身近なものなのですね。水の密度がほぼ1g/cm^3なのも、偶然なのではなく、実は身近にある水というところがポイントの、ちょっと当たり前のことだったりするんですね。
でも身近なものでの定義ではないものが、今使われている、そのわけは、地球上の、宇宙の上のどこでもブレないようにするための工夫なのですね。反対にいえば、身近なもので定義をすると、どこでも精度よく正確に使用ができなくなってしまったからです。
とくにすごい短い時間や、小さな長さを扱うとき、相対性理論や原子のサイズを考えるときなどに大切に、誰もが納得して使える共通の基準が必要になります。これが身近なものの定義だとうまくいかなくなってくるのです。
簡単に説明をしてしまいましたが、単位についてもっと、よく知りたい人は「単位がわかると物理がわかる」をおすすめしたいと思います(最近改訂されたものが出ました)。
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無機質だと思ってきた単位が、ぐっと身近になってくると思います。ちょっとすぐに学校のテストで点があがったりはしませんが、遠回りに見える、物理が好きになる対策ですが、こういうちょっとしたことをおさえていくことが大切です。
また単位なんて、その人の都合で決められているのか〜などと思えれば、かわいくみえてきますよ!
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