Q&A 摩擦力の公式はいつ使えばいいのでしょうか?センター物理基礎
摩擦力の問題で公式をすぐに使っていませんか?
センター試験がせまってきてるため?なのでしょうか、駆け込みの質問が届きます。
そんな中から、全員にとってプラスとなりそうな質問をもらったので、
みなさんといっしょに考えてみたいと思います。
質問をくれたのはコノさんです。コノさんには許可をとったので、ここに掲載してお答えします(名前、内容など一部改変しています)。
Q 摩擦力の公式の使い方がわかりません
センター物理基礎をうけるよていのコノともうします。高2で来年のために今は今年のセンター試験に挑戦をしようとおもって復習をしています。
摩擦力について質問があります。(摩擦力の問題では)公式に代入しても、うまく答えと合わないときがあります。解説をみると、摩擦力の公式を使っていたり、いなかったりと問題によって違いがあり、どう考えればいいのか、わからなくなってしまいました。なんとなく正解を選べている状態です。どんな使い分けがあるのでしょうか。
A 摩擦力の公式はおぼえてもよいですが、条件反射的にすぐに使ってはいけません。
次のような問題に挑戦していく中で考えてみましょう。
摩擦力には、静止摩擦力、最大摩擦力、動摩擦力の3つの摩擦力があることに注意しましょう。
問題
ある5kgの物体をあらい床の上におきました。物体と面の間の静止摩擦係数を0.80, 動まさつ係数を0.20,重力加速度を10m/s2とします。
(1) 右向きに3.0 Nの力を加えたところ物体は動きませんでした。このとき物体にはたらく摩擦力を求めなさい。
(2) ある大きさの力を加えたところ,物体は動き始めました。このときの力の大きさを求めなさい。
(3) 物体に右向きに水平方向に60Nの力を加え続けました。このときの物体の加速度を求めなさい。
A 摩擦力の公式はおぼえてはいけません
摩擦力の公式を覚えていますか?
「静止摩擦力はμN、動摩擦力はμ’Nだよね」
とおぼえている人もいるでしょう。
しかしこのような問題では、おぼえていることがアダとなって、間違ってしまう問題の一つです。
摩擦力は次の図のように3つの種類があり、それぞれ使う場面が異なるからです。
このグラフをあたまに叩き込みましょう!
とくに狙われるのが、静止摩擦力です。静止摩擦力はμNではありません。摩擦力がμNなのは物体が動き出す瞬間の摩擦力の大きさで、最大(静止)摩擦力といいます。
それでは順番に見ていきたいと思います。
解説
(1) 物体は静止をしているから、μNだよね!
だめです。
この問題では摩擦力のグラフの①静止摩擦力が問われています。止まっているからといって、最大値(μN)を聞いているわけではありません。このとき,物体には「引っぱった力」とつり合う「摩擦力」が反対向きに伸びます。よって,答えは左向きに3.0Nです。
答え 左向き3.0N
(2) この問題では、物体が動き始める直前の力を問われているので,グラフ②最大摩擦力が問われています。やっと公式の登場です!最大摩擦力の公式を使うと,f=μNになります。
この限界の状態での力のつり合いの式を作りましょう。
μN = F 式①
左向きの力=右向きの力
N = mg 式②
上向きの力=下向きの力
式①のNを式②に代入しFを求めましょう。
F = μ(mg)
数字を代入すると、
F = 0.8×5×10 = 40 [N]
答え 40N
(4) 動き出している物体にはたらくまさつ力はグラフの③動摩擦力です。動いている場合には、安心してください。常に摩擦力は一定で、公式F = μ’Nとなります。
今回の物体は右方向に加速をしているので、右方向には運動方程式を、上下方向には力のつり合いをたてます。
ma = F − μ’N 式①
(ma = 残った力)
N = mg 式②
(上向きの力=下向きの力)
式②のNを式①に代入して、
ma = F−μ’mg
数字を入れていきましょう。
5×a = 60 − 0.2 ×5×10
a = 10
答え 10m/s2
みなさんは摩擦力を使いこなしていますか?とにかく摩擦力の問題を解くコツは、どのような運動状態に物体があるのかをよく考えてから解いていくことになります!
センター物理・物理基礎の解説を当日に行う予定です。こちらも参考にどうぞ!
またセンター物理基礎に関係する参考書も書きました。
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