物理が10倍楽しくなる!伝説の教科書「ファインマン物理学」オンライン公開(無料)

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

あなたはファインマン物理学を読みましたか?理科教師として、日々生徒に「科学の面白さ」を伝えている先生方なら、きっとご存知のことでしょう。物理学を専攻した者にとって、この本はもはや単なる教科書ではありません。物理という広大な世界への扉を開けてくれる、いわばバイブルのような存在です。

実は私も、この本に出会ったのは大学院に入ってからでした。もっと早く出会っていれば、物理学への向き合い方が変わっていたかもしれない…と、少し悔しい思いを抱いたほどです。教科書のように体系立てられた構成とは一味違い、まるでファインマン先生が隣で語りかけてくれるような、独特の語り口が魅力です。特に力学の章を読んだ時は、それまで当たり前だと思っていた概念が、まったく新しい視点から解説されていて、新鮮な驚きと感動の連続でした。

物理学の本と聞くと、数式が羅列されていて難解なイメージがあるかもしれません。しかし、この本は違います。確かに専門的な数式も出てきますが、その背景にある概念や物理現象を、これ以上ないほどシンプルかつ明快な言葉で説明してくれています。英語で書かれていますが、そのわかりやすさは、論文を除けば、私が初めて自力で読破した英語の専門書と言えるほどでした。

そんな「ファインマン物理学」が、なんと全文、無料でオンライン公開されていることをご存知でしょうか?友人にこの情報を教えてもらった時、私は思わず「えっ、本当!?」と声を上げてしまいました。

The Feynman Lectures on Physics

http://www.feynmanlectures.caltech.edu/

ご存知のように、理系の専門書は、数式を調べる手間はかかるものの、説明文は非常に論理的で分かりやすく書かれていることが多いですよね。この本も例外ではありません。もちろん、原文を読み解くには辞書を片手にじっくりと向き合う必要がありますが、一度高校物理をしっかり学んだ先生なら、その基礎知識を土台に、新たな発見をしながら読み進めていけるはずです。

授業のちょっとした導入や、生徒を「物理の沼」に引き込むためのトリビア、あるいは先生ご自身の教養を深めるための「読み物」として、この壮大な物理学の講義録をぜひ活用してみてください。物理学の面白さを再発見できること間違いなしです。

「英語はちょっとハードルが高い…」と感じた先生には、日本語訳も出版されています。少しお値段は張りますが、理科の先生方にとってはもちろん、物理に興味のある高校生にも一生ものの価値がある一冊です。

ファインマン物理学〈1〉力学
ファインマン, …

寺田寅彦さんの電子書籍みたいに、これも電子書籍形式ででないかな〜。

授業準備に役立つ「ファインマン物理学」の使い方

1. 概念導入の「掴み」に活用する

授業の冒頭で、教科書にはないユニークな視点から物理現象を解説してみましょう。「ファインマン物理学」には、水が氷になる際のユニークな分子の動きの例や、光の振る舞いを「時間」という視点から捉える話など、生徒の興味をそそる話が満載です。

2. 深掘り学習のきっかけにする

物理が得意な生徒や、さらに知りたいという意欲のある生徒に、この本の該当箇所を発展学習の素材として紹介してみましょう。「この部分は教科書にはない、物理学の本当の面白さだよ」と伝えることで、生徒の知的好奇心をさらに刺激できます。

3. 先生自身の物理知識をブラッシュアップする

「この分野、どうも腑に落ちないな…」と感じた時、ファインマン先生の解説を読んでみてください。同じ概念でもまったく違う角度からの説明に触れることで、霧が晴れるように理解が深まることがあります。

4. 授業で使う比喩や例を探す

ファインマン先生は、非常に優れた教育者でもありました。難解な概念を、誰にでもわかるような巧みな比喩やたとえ話を使って説明するのが得意です。これらの比喩は、先生が授業で生徒に教える際にも非常に役立ちます。

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