ワールドカフェで反転授業に備えよう!岡田斗司夫さんから学ぶ7つの技
ワールド・カフェで学ぶ
ファシリテーション能力!
反転授業に必須です。
はじめに
みなさんワールドカフェをご存知ですか?
ワールドカフェは1995年にアニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスによって始められた話し合いの手法です。
ワールドカフェでは4〜5人単位のグループを作って、その独特な方法で話し合いを続けていくことにより、参加者全員と話し合いが行われているような効果があります。
この手法のすごさは、体験してみなければわからないというところがあるのですが、今回は岡田斗司夫さんの実際におこなっている動画の様子をみながら、ワールドカフェの効果や手法について紹介していきたいと思います。
ぼくはこの「ワールドカフェ」についてたまたまYoutubeで見つけた、
岡田斗司夫さんが主催したワールドカフェの映像(こちら)を見て
「コレだ!!」
と思いました。さっそく授業で実践したり、また「物理基礎の教え方」という研究会の講師でも試しました。この手法の特徴は、講師を含め全員が満足する、知見が深まるというのが特徴です。
今回はそんな「ワールドカフェ」について紹介したいと思います。
応用範囲はとても広いのが特徴です。
例えば学校では、ワールドカフェで生徒の仲を良くしておくことで、クラス全体の透明度がましたり、
また授業では反転授業やアクティブラーニングをおこなうときに、必須の技術となるでしょう。
ワールドカフェを体験する
まずは岡田斗司夫さんが行っているこちらの映像をみてください。すべてをみる時間が無いという人は、ワールドカフェの特徴的なスタイルである冒頭20秒の手をあげていくシーンを見てください。
どうでしたでしょうか。
突然岡田さんが手をあげると、
参加者がだまって手を上げていく様子が見れましたか?
これはワールドカフェで行われているテクニックの1つですが、
このようにグループワークを行う為の工夫がワールドカフェの中には、
散りばめられていて驚きました。
興味を持った方は「1(こちら)」から見ていくとよいでしょう。
結構時間がかかりますが、ワールドカフェ方式のススメ方がどのようなものかわかります。
これらの特徴的なテクニックや進行方向などを以下にまとめて紹介したいと思います。
(純粋なワールドカフェとは違うところがありますので注意してください。
ぼくがやってみて効果があったものや工夫をしたものも含まれます)
ワールドカフェで大事な7つの技
1 1つのグループは4人で組む
4人という数字が絶妙です。
ぼくたちも校外学習を行うときなど、
だいたい班は4〜6人で作ります。
ワールドカフェでは必ず4人以下にするそうです。
それはなぜなのか?4人で班を組むと必ず全員が話をしなければいけない状態になり、見ているだけの人がいなくなります。
傍観者がいなくなり、全員が当事者になれるというテクニックです。
たしかに4人のグループで沈黙していること自体が難しいですよね。
2 トーキングオブジェクトの利用
トーキングオブジェクトというら、おもちゃのマイクを用意して、ルールを使って使用します。
・話すときは必ずマイクを持つようにする。
・話し終わったらマイクは机の中央に置く。
こうすることによって、マイクを持っている人は話すという役割をこなすようになり、他の人は聞くという役割分担が自然にできます。また一人の人がマイクを持ちすぎていると目立ちます。
単純に、一人の人が話し過ぎないように!という注意をするよりも、マイクを持っている姿が目視できますから、ルールを守りやすくなります。
また口下手な人でも、マイクを持つことで話をしやすくなりますね。カラオケといっしょです(笑)。
3 模造紙を机に置く・カラフルなペンを置く
模造紙を机の上にあらかじめ広げておきます。その模造紙には自由に今考えていることを
書いても良いというのがルールです。
相手が書いたことに対して、自分が思ったことを矢印などを使って、
図解的に書くと良いという支持をだしておきます。
カラフルなペンを用意して行うと、創造性を刺激され、様々なことを書き始めるようになります。
4 ポストイットを置く
ポストイットを置いておきます。これは自分用のメモを書くためのものです。
模造紙と違うところは、このメモは公開しなくてもよいということです。
もちろん模造紙に貼っておいて、公開してもかまいません。
あとで説明する、グループ移動のときに、新しいグループに話し合いの
内容を伝えるときのためにも、ポストイットにメモを書いておくことは大切です。
5 運営者が手をあげたら、話をやめて静かにする
グループワークの制限時間がきたら、
「話し合い終わり!静かにしてください!」
という支持ではなく、講師が無言で手をあげます。
それの様子を見ていた人が、口を閉じて手をあげていきます。こうすると、ポツポツと気がついた人が手をあげていき、自然と静かになるばかりではなく、会場全体に一体感が生まれていきます。
その様子が動画からも伝わってきますよね。これも実践してみて、確かにそのようになります。本当に驚きました!
6 お菓子やお花をおく
このテクニックは、なぜそのようなことをするのか?と思う人もいるかもしれません。
しかしこれをすることにより、参加者は初めての人と話しをしやすくなる、
心理的な効果があります。
つまり、あなたは招かれているという感じを受け、
リラックスさせ話しやすくなる場を作れるという効果があります。
学校ではお菓子を机の上におくことはなかなかできませんが、お花なら使えますよね。
またPTAの茶話会などで効果を発揮しそうです。
これも細かいテクニックですが、ワールドカフェの特徴はこのような話しやすい環境つくりにあるといえます。
そんな意味で、リラックスできる「カフェ」という名前がついているわけです。
7 会場をうろうろと歩く
運営者はうろうろと歩きながら話しをしています。
このように話しをすると、聞き手は集中せざるおえません。またグループワークの様子をみながら、運営者も参加したり、進み具合を気にかけて声をかけたりしていきます。
それではワールドカフェのススメ方について見て行きたいと思いますが、
ワールドカフェと普通の会議などの進め方との違いをみながら、
ワールドカフェの立ち位置について見て行きたいと思います。
ワールドカフェの立ち位置
ワールドカフェはアニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスが発見した手法です。「カフェ」のような開放的でリラックスした環境での会話を会議に活かそうという手法でした。詳しくは下記の参考文献を御覧ください。
ワールドカフェの雰囲気は「楽しさ」「気楽さ」「温かさ」「開放感」「自由」「対等」「世界の広がり」などで言い表されるとのことです。文字だけ読んでもよくわかりませんが、実際に体験すると「たしかに!」と思うと思います。実際に企業の研修や学校現場、またNPO団体の集会など様々な場で用いられています。
ワールドカフェのススメ方の根本には、「人間は会話する生き物である」という信念があります。そして参考文献から次の言葉を引用します。
分断の文化からつながりの文化へ
私達は、これまでスピードと効率を再優先にしてきた産業社会の仕組みの中で、一人ひとりが分断され、人と人とのつながりが希薄になってきていると強く感じています。職場においても地域コミュニティにおいても、人と人とのつながりを取り戻し、信頼関係と協力関係を築いていくことが求められています。
ワールド・カフェにははじめての参加者どうしでも、すぐに打ち解けた雰囲気の中で会話が弾むということがあります。ワールドカフェを使うと協力関係を向上させることができ、今後の社会で生きていく上で役立つ手法だと考えられます。
本校の生徒にもぜひ学んでほしいと思い、この講座を行う予定でいます。
ワールドカフェ「グループワーク」の進め方
それではより実践的に、典型的なワールドカフェのススメ方について紹介します。
第一ラウンド テーマについてグループで話し合う:20分〜30分
第二ラウンド 新しいグループで話し合う:20分〜30分
第三ラウンド 元のグループに戻って気付きの共有:20分〜30分
第四ラウンド 全体でのアイデアの統合:20分〜30分
それぞれについて、流れにそって説明します。
0 事前にワールド・カフェについて説明をする
対話とはお互いの違いを楽しむ、考え方の違いを楽しむというものであり、相手の否定をするものではありません。この話し合いが議論ではなく対話であるということを明確にし、いろいろな道具について説明していきます。
トーキングオブジェクト、ポスター用紙、付箋などの道具の説明もしておきましょう。
ネームカードに呼ばれたい呼び名を各自がかきます。「自分でよばれたい名前」ということがポイントです。なんでもかまいません。プロジェクトアドベンチャーのネームトスも応用してもいいかもしれませんね。
1 ホストを決める
グループの中での司会者となるホストを決めます。突然はじめてのテーブルでこれを決めるのは大変なので、運営者の方から決めてあげるといいかもしれません。
例) 岡田斗司夫さんの動画の例では「髪が一番長い人」といようにホストを決めていました。
ホストになった人には、グループの皆で拍手を送ります。このような感謝の気持ちを表す動作も話し合いをスムーズにすすめるために、大切なことです。
2 1分間で自己紹介をする
読んで欲しい名前をいいながら、1分と時間を決めて自己紹介をしていきます。1分間話せなくて悩んでいたら、他の人が質問などの助け舟を出し、必ず1分間は話しをしてもらいます。
実際に自己紹介をしてみると、10秒くらいで終わる人なんかも出てきますので、最低1分!などと決めるような、細かい指示は大切です。
また自己紹介の順番も指示をしておくとよいでしょう。
・ホストからスタートして時計回りに行う
・1分間終わったら小さく拍手をしてすぐに次の人が話し始める
など、大切なことです。
3 第一ラウンド テーマについてグループで話し合う:20分〜30分
実際にテーマについて話し合いを行います。このテーマは様々なものがありますから、参加者が共通するような問題点を考えましょう。あるいみこのために集まったのですから、このテーマ設定はとっても大切です。
テーマ設定については、すぐに答えが出ないものだいを選ぶのが良いと思います。プロジェクトアドベンチャーと組み合わせたテーマ設定も面白いと思います。
4 第二ラウンド 新しいグループで話し合う:20分〜30分
ホスト以外の人は第一ラウンドが終わり次第、テーブルチェンジします。
条件はグループにいた同じ人と一緒にならないようにすることです。テーブルチェンジをして、元の班で話し合われていたことを新しい班で共有していきます。
グループを離れるときは、
「行ってきます。」
新しい班に合流したときは、
「よろしくお願いします。」
の声掛けをするようにと、細かく指示をしておくことも大切です。
新しいグループでは、ホストが進行役をし、前のグループではどのような意見がでてきたのか?ということについて、順番にまわしてはなしあっていきます。
5 第三ラウンド 元のグループに戻って気付きの共有:20分〜30分
元のグループに再度もどって、新しいグループでどのような意見がでてきたのか、どんな話し合いになったのかを共有していきます。
6 第四ラウンド 全体でのアイデアの統合:20分〜30分
運営者が前に出てきて、それぞれのグループででてきたアイデアを全体に共有し、まとめていきます。
ワールドカフェをやってみたい![準備編]
次にワールド・カフェを行う上での大切な準備についてメモをしておきます。こちらも参考文献から引用させていただきました。
<開催日以前の役割分担>
・会場の手配、備品の手配、プレゼンテーション資料作成、配布資料作成、掲示物の作成、備品調達
<開催日当日の役割分担>
・受付、誘導係、会場設営係、総合司会、カフェ・ホスト(運営者)、タイムキーパー、記録係
<備品の準備>
・模造紙、カラーの油性フェルトペン、プロジェクター、スクリーン、マイク、ポストイット、お菓子、おはな
以上です。いかがでしたでしょうか。
教師目線でみると、このカフェイベントの進め方にいろいろな学びがあることがわかります。また細かな「挨拶をする」などの支持も、的確で細やかな指示で
「ほ〜」
とうなってしまいました。参考にしてみるといいかもしれませんね。最後に参考図書について紹介します。こちらの図書ですが、すばらしく良い本です。ワールドカフェをやってみたい人は必見です。
ワールド・カフェをやろう!
香取 一昭, 大川 恒