日常の感覚とのずれ!物理と100m走との違いとは?「速さ」の測り方が逆転する理由

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オリンピックと理科室、「速さ」の常識は逆転する?

みなさんは、テレビでスポーツ観戦をしていて「速い!」と感動するのはどんな瞬間でしょうか? 陸上競技の100m走やマラソン、水泳の自由形など、私たちは様々な場面で選手の速さを競う姿を目にします。

実は、この「日常で感じる速さ」と「理科の授業で扱う速さ」には、決定的な違いがあることにお気づきでしょうか? 今日は、これから物理を学ぶみなさんに、このちょっと不思議な「速さのモノサシ」の違いについてお話しします。

スポーツの世界は「距離」が主役

運動会やオリンピックを思い出してみてください。 100m走、42.195kmのマラソン、競泳200m。これらに共通しているルールは何でしょうか?それは、「距離(ゴール)があらかじめ決まっている」ということです。

日常やスポーツの世界では、「単位距離(決まった距離)」を進むのにどれくらいの「時間」がかかったかを測定します。 「誰が一番短い時間でゴールできたか?」を競うわけですね。つまり、時間が少なければ少ないほど「速い」と判断されます。

つまり単位距離あたりの時間を見ていることになります。これは私たちにとって非常に直感的です。「あそこまで競争しよう!」と言ったとき、ゴールテープは動かないからです。

物理の世界は「時間」を基準にする

一方で、これからみなさんが学ぶ「物理」の世界では、考え方を少しチェンジします。 物理では、「単位時間あたり(決まった時間)」にどれくらいの「距離」を進んだかという体系に基づいて物事を考えます。なぜ、わざわざそんなことをするのでしょうか?

例えば、自動車のスピードメーターを見てみましょう。「60km/h(時速60キロ)」と表示されていたら、それは「1時間という決まった時間に、60km進む能力がある」ことを示しています。 もしこれをスポーツ方式で言おうとすると、「1km進むのに1分かかる速さ」といちいち計算しなくてはならず、瞬時に状況を把握するのが難しくなってしまいます。

物理現象を分析するときは、「1秒後、2秒後にその物体がどこにあるか」を予測することがとても重要になります。そのため、時間を基準(1秒あたり)に固定して、進んだ距離(メートル)を比べる方が、計算や予測が圧倒的に便利になるのです。

100m走を「物理の目」で見てみよう

では、スポーツの花形である100m走を、物理の「単位時間あたりの距離」に変換してみましょう。例えば、100mを10.0秒で走る選手がいたとします。 これを物理のルール(速さ (v) = 距離 (x) ÷ 時間 (t))で計算すると、以下のようになります。

100m/10s=10 m/s

これは、「1秒あたり10.0m進む速さ」という意味になります。 スポーツでは「10秒でゴールした!」と感動しますが、物理では「彼は1秒ごとに10メートル移動している」と分析するわけです。

これから始まる物理の授業では、日常の感覚とは少し違う、この「単位時間あたりに進んだ距離」という新しいメガネをかけて、世界を見ていくことになります。この視点を持つことで、ボールの動きから惑星の動きまで、あらゆるものの「未来の位置」が予測できるようになるのです。

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