なぜスウェーデンの家は赤い? ダーラナ地方で見つけた「科学」と絶景の旅
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
北欧の美しい国、スウェーデン。その首都ストックホルムから、もし少し足を伸ばすなら、どこへ行きますか?私が訪れたのは、電車とバスを乗り継いで約3時間、まるで絵本の世界に飛び込んだような「ダーラナ地方」です。そこは、日常を忘れるほどの静かな自然と、科学の「なぜ?」が隠された場所でした。
ダーラフローダの温かい宿

私たちが泊まったのは、「ダーラフローダ」という民宿のような素敵なホテルです。 ストックホルムから3時間かかりましたが、本当に来てよかったと思える場所でした!真ん中の方が宿を経営しているエバロッタさん。どことなく日本のおばあちゃんに似ていて、とても温かく迎えてくれました(右が奥様です)。異国の地でこんな出会いがあると、心がほっと温まりますね。
スウェーデンの「赤」に隠された科学
ダーラフローダの近くには、写真のような赤い素敵な吊橋があります。私たちは自転車を借りて、この美しいダーラナ地方を散策しました。

ところで、なぜスウェーデンでは、家や橋にこの「赤色」がよく使われているか知っていますか?これは「ファールン・レッド(Falun Red)」と呼ばれる伝統的な塗料で、単なるデザインではないんです。 この塗料は、世界遺産にもなっている近くの「ファールン銅鉱山」で採れる鉱物の副産物(酸化鉄など)から作られています。
そして、この塗料には木材を腐らせにくくする「防腐効果」や「防虫効果」があるのです。厳しい北欧の気候から大切な家や橋を守るための、まさに「科学の知恵」なんですね。
氷河が作った? 鏡のような湖の秘密
これが湖の様子です。水が驚くほど冷たくて、澄んでいました。なぜこんなに水が澄んでいるのでしょうか? ダーラナ地方を含むスカンジナビア半島は、はるか昔、厚い氷河に覆われていました。その氷河が大地を削ってできた「氷河湖」が多いのです。

一般的に、水温が低いと、水中にいるプランクトンや微生物の活動が活発でなくなります。また、氷河によって作られた地形は土壌の栄養分が少ないことが多く、それもプランクトンの繁殖を抑えます。だから、水が鏡のように澄み渡っているんですね。
カヌーの人気があるのもよくわかります。 ちなみに、カヌーでパドルを「後ろ」に押すと、ボートは「前」に進みます。これは物理で習う「作用・反作用の法則」です。美しい自然の中で、科学の法則を体感できるなんて、最高の学びだと思いませんか?
旅は科学の発見の連続
ダーラフローダへの地図はこちらです。
一見ただの旅行記ですが、訪れた土地の「なぜ?」に目を向けると、そこには地学、化学、物理といった科学がたくさん隠されています。 もし皆さんも機会があったら、このダーラナ地方を訪れて、素敵な自然と科学の発見を楽しんでみてください!
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