高校入試・面接対策の「なぜ?」を解明! 学研と作った5日間の面接の処方箋(『高校入試 5日で受かる!面接対策』(学研))【監修】

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

普段はフラスコを振ったり、自然現象の「なぜ?」を追いかけたりしていますが、今日は少し視点を変えて、「人生の岐路」という名の実験についてお話しします。実はこのたび、学研さんからご相談を受け、中学生に向けた一冊、『高校入試 5日で受かる!面接対策』を監修させていただきました!

「え? 理科の先生がなぜ面接?」と驚かれるかもしれません。しかし、私の中ではこの2つは完全にリンクしています。科学の世界に「再現性」という言葉があるように、素晴らしい結果を出すためには、偶然に頼るのではなく、緻密な準備と正しい手順が必要不可欠だからです。

昨年度、中学3年生の担任をしていた際、「生徒に渡したい理想のデータ(本)がないなら、作ってしまおう!」という、まさに実験精神で取り組みました。過去の自分にタイムマシンで届けたい、そんな本です。

12月4日に発売となるのが、こちらの『高校入試 5日で受かる!面接対策』(学研)です。完成したばかりの見本誌が手元に届きました。

表紙にはしっかりと名前も入っています。

理科教師が分析する「面接」という化学反応

なぜ、理科教師が面接を語るのか。それは、面接が生徒と学校との「化学反応」を見る場だからです。

どんなに素晴らしい素材(生徒)であっても、触媒(伝え方)や環境(マナー)が適切でなければ、良さは伝わりません。現場で多くの面接練習を見てきましたが、非常に「もったいない!」と感じる場面に何度も遭遇してきました。

例えば、「志望動機」を聞かれた際に、「おばあちゃんの知り合いに〇〇さんという方がいて…」と答えてしまった生徒がいました。気持ちは痛いほどわかりますが、ここでは公的な場に適した「祖母」という用語を選択すべきです。このたった一つの言葉の選びで普段から敬語を使っているのかどうかがわかってしまいます。普段から敬語が自然と使えるようにしておきたいものですね。

面接は「失敗データ」から学ぶ科学実験だ!

科学の進歩は、過去の失敗データの蓄積の上に成り立っています。面接も全く同じです。先人たちが犯したミスを知ることで、「エラー回避」が可能になります。過去に見られた典型的な実験ミス(面接失敗例)を見てみましょう。

質問に対する出力不足:「短所は?」と聞かれ、本当に短所だけを答えて終了。(「だから、こう改善しようと努力しています」という考察がない!)

予期せぬ反応へのパニック:「他に受験している学校は?」と聞かれ、動揺して嘘をつく。(併願は当たり前の前提条件です。正直なデータ提示が信頼を生みます)

時間配分のミス:集団面接なのに、個人面接のつもりで長く話しすぎる。(全体のバランスを見る「協調性」という変数が評価されています)

科学実験も、失敗(=予想と違う結果)から「なぜそうなったか」を分析して次に活かすことが重要です。面接も、先人たちの「失敗データ」を事前にインプットしておくことが、合格への一番の近道なんです。

合格を導くための「実験ノート(面接対策本)」

今回監修した本には、そうした「失敗例(あるある!)」と、それをどう修正すれば良い結果が得られるかという「模範解答例」を詰め込まれています。例えば、「個人面接」と「集団面接」では、求められる反応速度と情報量が異なります。

個人面接は、面接官とのキャッチボール。会話のリズムを重視し、相手の問いかけに対して簡潔かつ的確に反応することが求められます。

一方、集団面接は時間が限られています。質問回数が決まっていることが多いため、一度の発言に「結論+理由」をセットにして、少し密度を高くして伝える必要があります。

このように、状況に応じた最適な振る舞いが詳しくまとめられています。

また、「マナー」は日々の行動が無意識に出る部分なので、面接官という観察者はここを鋭く見ています。逆に言えば、型(フォーム)さえ身につけてしまえば、自信を持って堂々と振る舞えるようになります。

中学生が一番困る「意地悪な質問」への対処法も網羅しました。「短所」を聞く意図は、欠点探しではなく、「自己分析能力」と「改善のプロセス」を見ているのです。

さらに、自分で書き込みながら思考を整理できるワークシートもついています。これはまさに、自分だけの実験ノートですね。

緊張は「アドレナリン」という味方である

「部活ばかりでアピールポイントがない…」「本番で頭が真っ白になったらどうしよう…」 そんな不安を持つ中学生も多いでしょう。

でも、大丈夫です。緊張してドキドキするのは、体が「戦う準備」をしている証拠。アドレナリンが分泌され、脳や筋肉に血液を送っている正常な生理現象です。「お、自分はいま最高のパフォーマンスを出そうとしているな」と科学的に捉え直してみてください。

入室から退室までの一連の流れ(=実験手順)を、この本でシミュレーションしておけば、体は自然と動きます。

最高の結果を出すための「下準備」として、学校生活を充実させておくというのが大切なことは言うまでもありませんね。

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