授業が変わる!サフラニン塩酸で手間なし・くっきり体細胞分裂観察ガイド!(サフラニン塩酸)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「生命の神秘」と聞くと、なんだか壮大な宇宙や深い海を想像しませんか?でも実は、私たちのすぐ足元、たった1粒のタマネギの種のなかでも、驚くべきドラマが繰り広げられているんです。1つの細胞が2つに、2つが4つに……。この命のバトンタッチ、つまり細胞分裂の瞬間を、自分の目で捉えたときの感動は忘れられません。

理科の授業で、この細胞分裂を実際に顕微鏡で観察させたい。そんなときにおすすめなのが、 サフラニン塩酸(ナリカ製) を使った「タマネギの根の体細胞分裂観察」です。この実験、準備がちょっと大変そうに見えて、やってみると意外とシンプル。サフラニン塩酸を使うと、従来の「塩酸で加熱する」といった手間がかからず、準備も楽ですし、授業時間内にきれいに観察できます。私自身、「核の中の染色体が分かれている!」「おぉ〜これが分裂か〜!」と、生徒と一緒に久しぶりにテンションが上がってしまいました。

今回は、私が実際に行った方法や、準備の手順、気をつけるポイントなどを、中学校の理科授業向けに詳しくご紹介します。

準備(1週間前からスタート)

実験の成功は、元気な根っこを育てることから始まります!

• タマネギの種(余裕をもって60粒以上)
• シャーレ(または小皿)数個
• ティッシュペーパー or 脱脂綿
サフラニン塩酸(ナリカ製) Amazonだとこちら

• スライドガラス、カバーガラス(各人数分以上)
• ピンセット
• ようじ(先が平らなもの)
• 水、スポイト、ティッシュ
• グリセリン(保管する場合)※ なくても大丈夫です。

事前準備

発芽のさせ方(種まき〜5日後)

種まきのポイントは、ティッシュか脱脂綿の上に種を並べ、水で湿らせてシャーレに入れること。水をかけすぎると種が呼吸できずに腐る原因になるので、ティッシュが湿っている程度がちょうどいい塩梅です。脱脂綿を使うと水分量が安定しやすいので、初めての方には特におすすめです。

室温で管理すれば、4〜5日で芽(根)が5mmほどに成長します。私の場合、4日目に30本ほどが5mm以上に達し、6日目にはほぼ全ての芽が理想的な長さに。観察にはこの5mm程度がベストタイミングです。(3月にやった例です)

前日:サフラニン塩酸で染色

観察日の前日、伸びた芽をサフラニン塩酸に浸けて染色します。通常、細胞を観察しやすくするには「解離(細胞をバラバラにする)」と「染色」が必要ですが、このサフラニン塩酸はその両方を同時に、しかも常温で行ってくれる優れものです。1日じっくり浸けておくことで、核の中にある染色体がくっきりと浮かび上がります。

実験当日:プレパラート作成(押し潰し法)

いよいよ本番です。生徒たちに班ごとに染色済みの種を配布し、以下の手順でプレパラートを作っていきます。

① 芽を水に浸けて柔らかく
• 種をビーカーやシャーレに水と一緒に入れ、5分ほど放置します。
ここで絶対にかき混ぜないこと! せっかく育ったデリケートな芽がポキッと折れてしまいます。

② 芽を切り取ってスライドへ
• ピンセットで芽を優しく取り出し、スライドガラスの上に置きます。
• 細胞分裂が最も盛んなのは根の先端部分です。先端1mmくらいの部分を、カバーガラスの端などを使って器用に切り取ります。

③ カバーガラスをのせて押し潰す
• カバーガラスをそっとかぶせ、ようじの後ろでトントンと軽くたたいて細胞を広げます。
• ある程度広がったら、ティッシュを上にのせ、指で垂直にグッと押し潰します。
• このとき、じわっと染色液が広がり、肉眼では形がわからなくなるくらいまで薄く広げるのが成功のサインです!細胞が重なっていると、顕微鏡で見ても真っ暗になってしまいますからね。

※グリセリンを1滴垂らしてからカバーガラスをのせると、乾燥を防いで長期保管が可能になります。

押しつぶし法

種を乗せて、

カバーガラスできり、ピンセットで不要なところをはじに寄せます。

 

楊枝でトントンと叩いたら、最後に押しつぶします。

観察のコツと感動ポイント

顕微鏡を覗いたら、まずは低倍率で全体を見渡し、細胞が密集している場所を探します。そこから倍率を上げ、染色体がダイナミックに動いている細胞を宝探しのように探してみましょう。

4×10=40倍

40×10=400倍

「これは分裂の初期段階かな?」「あ、染色体が真ん中に並んでるから中期だ!」と、教科書の図面と目の前の生きた細胞を照らし合わせる作業は、知識がリアルな体感に変わる瞬間です。

おわりに:成功のカギは「練習」と「数」

この実験を成功させる最大のコツは、押し潰し方の加減です。こればかりは練習あるのみ!ですので、生徒一人につき最低でも2〜3個のプレパラートを作れるよう、多めに芽を準備しておくのがコツです。私は班員の人数×2個以上の種を用意するようにしています。

自分の手でプレパラートを作り、自分の目で染色体を見つける。この経験は、ただ教科書を読むよりも何倍も深く記憶に刻まれます。ちょっとした準備の手間はありますが、それ以上の驚きと学びが待っていますよ。

もし、どうしても準備の時間が取れない!という場合は、市販の完成されたプレパラートを活用するのも一つの手です。

プロが作ったものはやはり綺麗ですね。10倍で見てみると……

このような形で見ることができます。

よく見ると、細胞の大きさが中心部と外側で異なっているのがわかります。さらに倍率を400倍まで上げてみましょう。

こちらは根の先端に近い、成長が盛んな部分です。

一方、こちらは根から少し離れた場所。

核の形が崩れ、まさに分裂している最中の細胞が見られますね。同じ倍率でも、場所によって細胞の大きさや数、分裂の様子に違いがある……。そんな発見ができるのも、観察の醍醐味です。

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