時間内に観察・準備もラクラク!植物の体細胞分裂実験のやり方(サフラニン塩酸)
理科の授業で、細胞分裂を実際に顕微鏡で観察させたい。そんなときにおすすめなのが、**サフラニン塩酸(ナリカ製)**を使った「玉ねぎの根の体細胞分裂観察」です。
この実験、準備がちょっと大変そうに見えて、やってみると意外とシンプル。サフラニン塩酸を使うと、準備も楽だし、当日も温めたりする必要がないので、時間内に治ります。観察できたときの感動もひとしおで、生徒たちの反応も良好です。私自身、「核の中の染色体が分かれてる!」「おぉ〜これが分裂か〜!」と、久しぶりにテンションが上がりました。
今回は、私が実際に行った方法や、準備の手順、気をつけるポイントなどを、中学校の理科授業向けに詳しくご紹介します。これを読めば、次の授業で迷いなく実施できるはず!
◆準備(1週間前からスタート)
◎必要なもの(観察30人クラスを想定)
• 玉ねぎの種(余裕をもって60粒以上)
• シャーレ(または小皿)数個
• ティッシュペーパー or 脱脂綿
• サフラニン塩酸(ナリカ製) Amazonだとこちら
• スライドガラス、カバーガラス(各人数分以上)
• ピンセット
• ようじ(先が平らなもの)
• 水、スポイト、ティッシュ
• グリセリン(保管する場合)※ なくても大丈夫です。
事前準備
発芽のさせ方(種まき〜5日後)
私は3月15日に玉ねぎの種まきをスタートしました。
ポイントは、「ティッシュか脱脂綿の上に種を並べ、水で湿らせてシャーレに入れる」こと。水をかけすぎると腐る原因になるので、“ティッシュが湿っている”程度がちょうどいいです。脱脂綿を使うと水分量が安定しやすいのでおすすめです。
室温で管理すれば、4〜5日で芽が5mmほどに成長します。私の場合、4日目に30本ほどが5mm以上に達し、6日目にはほぼ全ての芽が5mmに。観察にはこのくらいが理想です。
前日:サフラニン塩酸で染色
観察日の前日、伸びた芽をサフラニン塩酸に浸けて染色します。
「冷蔵庫に入れると成長が抑えられる」と言われていますが、前日なら常温でOK。1日浸けておくことで、染色体が見やすくなります。
実験当日:プレパラート作成(押し潰し法)
授業当日、生徒たちに班ごとに染色済みの種を配布します。以下の手順でプレパラートを作ります。
① 芽を水に浸けて柔らかく
• 種をビーカーやシャーレに水と一緒に入れ、5分ほど放置。
• ここで**かき混ぜないこと!**芽が折れる原因になります。
② 芽を切り取ってスライドへ
• ピンセットで芽を取り出し、スライドガラスの上に置きます。
• 芽の先端1mmくらいの部分を、カバーガラスを当てて切り取る。
③ カバーガラスをのせて押し潰す
• カバーガラスをそっとかぶせ、ようじの後ろでトントンと軽くたたいて細胞を広げる。
• ある程度広がったら、ティッシュを上にのせ、指で水平にグッと押し潰す。
• このとき、「じわっ」と染色液が広がり、形がわからなくなるくらいが成功のサインです。
※グリセリンを1滴垂らしてからカバーガラスをのせると、長期保管が可能になります。
押しつぶし法
種を乗せて、
カバーガラスできり、ピンセットで不要なところをはじに寄せます。
楊枝でトントンと叩いたら、最後に押しつぶします。
観察のコツと感動ポイント
顕微鏡での観察では、細胞分裂中の核=染色体が分かれている細胞を根気よく探します。見つけた瞬間、ほんとうに感動します。
4×10=40倍
40×10=400倍
「分裂の初期段階?」「これは中期かな?」と、教科書と照らし合わせながらの観察は、知識が体感に変わる瞬間です。
◆おわりに:成功のカギは「練習」と「数」
この実験のポイントは、押し潰し方にコツが必要なこと。一人につき最低でも2〜3個のプレパラートを作れる数の芽を準備すると、成功率が上がります。私は班員数×2個以上を用意しました。
生徒にとっても、実体験で染色体が「見える」ことは、記憶に残る理科の授業になります。ちょっとした手間はありますが、それ以上の学びと面白さがありますよ!
また時間がない場合には、出来合いの細胞分裂プレパラートを使うのも1つです。
10倍でみてみると、、、。
このような感じで見ることができます。
細胞の大きさが中心部と外側で異なっている様子がわかりました。倍率をもう少し上げてみて、400倍にしてみると、
このように見えます。こちらは根の近くの様子です。
こちらは根から少し離れたところの様子です。
核の形が崩れているものが見られますね。どちらも400倍ですが、細胞の大きさや数に違いが見られます。
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