おやつが火山に!? メントスとコーラで解き明かす「噴火」の科学
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
火山の噴火と聞くと、なんだか遠い世界の話のようですが、実は私たちの身近なもので、そのミニチュア版を安全に再現できるんです。今回使うのは、なんとお菓子の「メントス」と「コーラ」。おやつタイムの定番が、あっという間に科学実験の主役に変わります。なぜ、この二つが出会うと、あの激しい現象が起きるのでしょうか? そして、それがどうして「火山」と関係あるのでしょう?
さあ、机の上で起こる小さな大噴火、その秘密を探る旅に出かけましょう!
準備はとっても簡単!
今回の予備実験で用意したものは、本当にこれだけです。
ペットボトル(コーラ)300ml
メントス 1個
たったこれだけで、机の上に小さな火山を出現させることができます。今回は300mlの小さなペットボトルを使いましたが、これが「安全な観察」につながる重要なポイントになりました。量が少ないため、噴き出す勢いや量が比較的コントロールしやすく、室内でもじっくりと現象を観察することができたのです。 (※500mlや1.5Lで試す場合は、必ず屋外の広い場所で!)
メントスが火山のスイッチ!噴火のメカニズム
メントスは、コーラの底に向かって沈んでいきながら、その通り道で連続的に泡を発生させます。この「下から次々とエネルギー(泡)が湧き上がり、液体を押し上げる」様子が、地下のマグマだまりからガスと共にマグマが上昇してくる火山の姿によく似ているのです。
コーラの中には、「二酸化炭素(CO2)」という気体が、高い圧力をかけられて無理やり液体に溶け込んでいます。これは、地下深くのマグマだまりで、高い圧力によって水蒸気(H2O)やガスがマグマに溶け込んでいる状態とそっくりです。普段は大人しくしていますが、何かのきっかけがあると、一気に外へ飛び出そうとします。
そして、その「きっかけ」を作るのが「メントス」なんです!メントスの表面をよーく見てみると(虫眼鏡などがあれば最高です!)、実はツルツルではなく、目に見えないほど小さなデコボコがたくさんあります。このデコボコが、コーラに溶けていた二酸化炭素が集まる絶好の「足場」になります。この無数の「足場」で、液体に溶けていた二酸化炭素が一気に気体(泡)へと姿を変えます。それが爆発的に増えることで、行き場を失ったコーラ(液体)を一気に押し上げるのです。これが、メントスコーラ噴火の正体です!
今回の実験では、300mlのコーラにメントス1個だったためか、比較的ゆっくりと穏やかに噴火しました。これは、実際の火山でいうと、粘り気の少ない(サラサラした)溶岩が静かに流れ出るタイプの噴火(ハワイのキラウエア火山など)に似ています。
もし、もっと激しい噴火が見たい場合はどうすれば良いでしょう? もしかしたら、メントスの数を増やしたり、コーラの温度を上げたり(※温めすぎに注意!)、またはコーラの種類(ダイエットコーラは糖分が違うため、結果が変わるとも言われています)を変えたりすると、結果が変わるかもしれませんね。
皆さんも、ぜひ安全な場所で、保護者の方と一緒に試してみてください。そして、なぜそうなるのかを考えてみると、いつものおやつが、もっと面白く見えてくるはずですよ!もっと派手にやってみるなら、こちらの方法もおすすめです。メントスを使わないで外で行うパターンです。
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