【科学監修】罰ゲームの静電気マシーン「バンデグラフ」の秘密を科学者が徹底解説!THE RAMPAGE from EXILE TRIBE夏のトークSP第2弾!」
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
冬、ドアノブに触れた瞬間に「バチッ!」。下敷きで髪をこすると、フワッと逆立つ…。私たちの日常にあふれる不思議な現象、「静電気」。この、ちょっぴり厄介な静電気を、とてつもなく巨大にしてしまう驚きの科学装置があるのをご存知ですか?

実はこの装置、先日8月27日に放送された「HiGH&LOW THE WORST EPISODE.O – THE RAMPAGE from EXILE TRIBE夏のトークSP第2弾!「王子チームVS貴族チームでスピーチNo.1バトル!」(日本テレビ)という番組で、罰ゲームとして使われました。そして何を隠そう、この企画で実験の監修や安全管理を担当させていただいたのが、何を隠そうこの私です!
今回は、番組の裏話も交えながら、髪の毛が逆立つ魔法のボール「バンデグラフ」の秘密に迫ります。
魔法のボール?「バンデグラフ」の正体とは
番組をご覧になった方は、金属のボールに触れただけで髪の毛がブワッと逆立つ様子に驚かれたかもしれません。この装置が「バンデグラフ(正式名称:バン・デ・グラーフ起電機)」です。
「ボールの中に何か特別なものが入っているの?」と思うかもしれませんが、実は中身は驚くほどシンプル。モーターとゴムベルト、そしてローラーが入っているだけなんです。


装置の中では、ゴム製のベルトコンベアが高速で回転しています。このベルトが、違う素材でできたローラーと擦れることで、まるで下敷きで髪をこすった時のように、静電気がどんどん発生します。発生した静電気はベルトコンベアに乗って上の金属ボールへと運ばれ、大量に蓄積されていく、という仕組みです。
よく「コンセントの電気が直接流れているのでは?」と心配される方がいますが、それは大きな誤解。あくまで摩擦で発生した静電気をためているだけなので、今回使用したナリカ製の実験装置はとても安全なものです。
罰ゲームを科学する!テレビ撮影の裏側
さて、今回の番組でのミッションは、このバンデグラフを罰ゲームとして使い、さらに出演者の方々が手をつないで一斉に静電気を感じる**「100人おどし」**(今回は人数が少ないですが)を成功させることでした。
そのため、バンデグラフのパワーをさらに増強させる秘密兵器を用意しました。それが**「ライデン瓶」**です。

ライデン瓶は、18世紀に発明された、電気をためておくことができる「電気のビン」。いわば、世界初のバッテリー(コンデンサ)のようなものです。これをバンデグラフの上にセットすることで、より多くの静電気を蓄えることができるようになります。
しかし、撮影には大きな壁が立ちはだかりました。それは**「湿度」**です。
静電気は、空気が乾燥している冬に発生しやすいですよね。それは、空気中の水分(湿気)が、電気を空気中に逃がしてしまう性質があるからです。撮影が行われたのは、夏の湿度がとても高い日(約60%!)。スタジオの空調でできるだけ湿度を下げてもらってはいましたが、まさに静電気実験にとっては最悪のコンディション。せっかくためた静電気がどんどん逃げてしまうため、実はヒヤヒヤしながら撮影に立ち会っていました。
科学の楽しさを伝えるために…
そんな苦労もありましたが、無事に撮影は成功し、科学の面白さを少しでもお伝えできたのではないかと思っています。
ちなみに、このバンデグラフは実験教室や監修依頼が多いため、ついに個人で購入してしまいました。なかなかに高い買い物でしたので、このことは家族にはまだ内緒です…。
こんな大きな装置を買ってしまうのも、皆さんに科学の「すごい!」「おもしろい!」を届けたい一心からです。これからも、身の回りの不思議をどんどん探求していきましょう!
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