工作レベル1で科学レベルMAX!簡単どんぐりゴマに隠された不思議なチカラ(科学遊び)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

公園に転がる、あの小さな秋の宝物…ドングリ。見つけるとなんだか嬉しくなりますよね。でも、そのドングリが、実は科学の不思議を解き明かすカギとなり、さらには宇宙技術にもつながっていることをご存知ですか?

今回は、お子さんと一緒に楽しめる簡単な工作から、地球の自転にも関係する壮大な物理の法則の世界を覗いてみましょう。

秋の宝物で、科学と遊ぼう!簡単どんぐりゴマの作り方

今回作ってみたのは、世界に一つだけのオリジナル「どんぐりゴマ」です。準備するものは、どれもお家や自然の中にあるものばかりですよ。

【材料と道具】

お気に入りのどんぐり(なるべく丸くて形が整っているものがオススメ!)

爪楊枝

直径2mmほどの電動ドリル(なければキリでもOKですが、大人の人と一緒に使いましょう)

ニッパー

(必要であれば)木工用ボンド

作り方はとってもシンプルです。まず、どんぐりの中心にドリルでまっすぐ穴を開けます。ここに爪楊枝を差し込み、ニッパーでくるくる回しやすい長さにカット。もし軸がぐらつくようなら、爪楊枝の先に少しだけ木工用ボンドをつけて差し込むと安定します。

色を塗るのも良いですね!

たったこれだけで完成です! シンプルですが、自分で作ったコマが回る姿に子供も大喜び。何度も回したり、ベイブレードのステージで現代のコマと対決させたりと、遊びがどんどん広がっていきました。

小さなコマに隠された、宇宙の法則「ジャイロ効果」

このどんぐりゴマ、見た目は少し重心が高そうで不安定に見えるかもしれません。でも、実際に回してみると驚くほど安定して、力強く回り続けます。

さらに面白いのが、わざと斜めに傾けて回した時です。普通ならそのまま倒れてしまいそうですが、なんとコマはぐぐっと自分で軸を立て直し、まっすぐな姿勢に戻ろうとするのです。

これが、自転車が走り出すと倒れにくくなったり、フィギュアスケート選手が美しいスピンを決められたりするのと同じ、「ジャイロ効果」という現象です。

難しそうに聞こえますが、コマは「今の回転の状態を保ち続けたい!」と頑張る性質を持っている、と考えてみてください。だから、倒そうとする力(重力)が横から加わっても、それに逆らってその場で踏ん張り続けようとするんですね。この不思議な力は、宇宙で人工衛星の姿勢を制御したり、皆さんが持っているスマートフォンが傾きを検知するセンサーにも応用されたりしています。

小さなドングリの回転が、最先端技術につながっているなんて、なんだかワクワクしませんか?

遊びが「なぜ?」に変わる瞬間

「どうして倒れないんだろう?」「どうすればもっと長く回るかな?」
子供が夢中でコマを回しながら発した、素朴な疑問。これこそが科学の入り口です。

「きっと、もっとまっすぐなドングリを選んだらいいんだ!」「軸の長さを変えてみよう!」
遊びの中から生まれた「なぜ?」は、自ら仮説を立てて試行錯誤する「探求」へと変わっていきます。

たった一つのドングリが、親子の楽しい時間と、科学への扉を同時に開いてくれました。皆さんもぜひ、足元の小さな秋を見つけて、壮大な科学の世界で遊んでみてくださいね。

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