接続部を「握る」だけで変わった!電圧実験で奇跡的に綺麗なデータが出たわけ(電圧の性質)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
電気って、目に見えないのに、つなぎ方ひとつで全く違う動きをします。直列につなぐのか、並列につなぐのか。たったそれだけで、電圧の分かれ方がガラリと変わるのです。今回はその「規則性」を、実験データを使って鮮やかに浮かび上がらせました。データがあまりにも美しくそろったので、授業中に思わず「なんと綺麗なんだ!」と感動してしまいました。なお生徒はポカンとしていました。
まずはウォーミングアップ〜デジタル電圧計の使い方を確認〜
本題に入る前に、デジタル電圧計の使い方をおさらいしました。20オームの抵抗1つと、3Vの電源装置で回路を組み、抵抗の周りの電圧と電源装置の周りの電圧を測定します。すると、ピタリと一致する班もあれば、わずかにズレる班も出てきました。

そこで試してみたのが、回路の接続部分を軽く「握る(ニギニギする)」という方法です。すると、どの班の値もかなり近い数値に揃ってきました。これは電気回路の大切なポイントを教えてくれています。接触不良は測定誤差の大きな原因になります。導線と端子の間に目に見えないほどのすき間があるだけで、そこに余分な「接触抵抗」が生まれ、電圧の測定値がズレてしまうのです。
握ることで接触面積が増え、抵抗が減る。シンプルですが、とても大切な気づきです。この経験から、実験前に必ず確認すべきことを生徒と共有しました。
・回路を組んだら、接続部を整えてから測定すること
・測りたい回路をしっかり完成させてから、順番に電圧を測っていくこと
・電圧計は班に1台。丁寧に、順番に測っていきます。
仮説を立ててから実験へ〜今回は数式で予測する〜
今日の本題は、直列回路と並列回路における電圧の規則性です。実験の前に、各班で仮説を立ててもらいました。今回は電流の実験のときとは違い、仮説をクラス全体で共有するのではなく、班の中だけで共有する形にしました。また、仮説は「なんとなく」ではなく、数式を使って表すことを求めました。「V₁ + V₂ = V」のように、記号と数式で予測を立てることで、実験結果と照らし合わせやすくなります。使用した抵抗は2つ。10オームと20オームです。さあ、実験開始です。
直列回路の結果〜足し算がぴったり合った!〜



全クラスのデータをスプレッドシート1ファイルにまとめ、生徒それぞれがログインして数値を入力していきました。各班で共有することによって、1つの実験ではなく、8つの実験のデータが揃って傾向を見出しやすくしたかったからです。その結果が、驚くほど綺麗にそろいました。
抵抗aの電圧+抵抗bの電圧=電源電圧
この関係が、どの班のデータにもくっきりと現れていました。直列回路では、電圧は抵抗の大きさに比例して「分配」されます。10オームと20オームの比は1対2なので、電圧も1対2に分かれるはずです。データはその予測通りの結果を示していました。電気のエネルギーは「使い切られる」もの。電源が押し出したエネルギーが、抵抗を通るたびに少しずつ消費され、最終的にはちょうどゼロになって戻ってくる。それが直列回路の電圧の姿です。
並列回路の結果〜全部同じ!これが並列の特徴〜


続いて並列回路の結果です。こちらも、データが見事に揃いました。電源電圧も、抵抗aの電圧も、抵抗bの電圧も、すべてほぼ同じ値になりました。並列回路では、それぞれの抵抗が電源に「直接つながっている」状態になります。どの抵抗も同じ電圧を受け取るため、全て同じ値になるのです。これは身近な例で言うと、家のコンセントがまさにこの仕組みです。テレビも冷蔵庫も照明も、すべて100Vの同じ電圧で動いていますよね。並列つなぎだからこそ、どの家電も同じ電圧を受け取れるのです。
なぜ今回はこんなに綺麗なデータが取れたのか?
この実験、実はいつも規則性が見出しにくく、データがバラつくことが多いのです。例えばこちらは以前行った並列回路の結果です。

結構なばらつきがあり、性質が見えにくいのが分かります。ところが今回は、これまでで一番と言えるほどクリアな結果が出ました。要因として考えられるのは2つです。
まず、接続部を「握る」という意識を持たせたこと。これにより接触抵抗が減り、測定値が安定しました。
もうひとつは、導線を新しいものに取り替えたこと。長く使った導線は内部が断線しかけていたり、被覆の劣化で接触が不安定になったりすることがあります。
道具の状態を整えることが、実験の精度を大きく左右するのだということが、改めてよくわかりました。
参考資料
・実験で使用したスプレットシートはこちらです。閲覧権限なので、コピーをして使用してください。

・以前の実験記録については、こちらをご覧ください。
直列回路
並列回路
・参考 これまでの流れ
- 鉛筆回路 1時間目
- 回路図の描き方 2時間目
- 電流計の使い方 3時間目
- 豆電球の前後の電流はどうなるか? 4時間目
- 電流の規則性 直列回路・並列回路 5時間目
- アナログからデジタル電圧計へ 6時間目
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