中性洗剤の秘密!界面活性剤についてのまとめ(お掃除の化学)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
お掃除の科学についてのまとめ記事はこちらからご覧ください。
ここでは中性洗剤の役割についてまとめて紹介します。中性洗剤が効くのは、主に次のような軽い汚れ、新しい汚れです。
・食器の油汚れ 使ったばかりの食器の油や食べかす
・手あか・皮脂 ドアノブ、スイッチ、テーブル、スマホ周りなど
・ほこり・軽い汚れ 床、壁、家具の拭き掃除
・食品のこぼれ 調理台やコンロまわりの新しい汚れ
・衣類の日常の汚れ おしゃれ着洗い用の洗剤(中性)で洗うウールや絹などの汚れ
なお中性洗剤は、時間がたって固まった油汚れ(酸化した油)、水垢、サビ、尿石、カビなどは、力不足のことがあります。その場合は、アルカリ性洗剤や酸性洗剤、漂白剤などを使い分けます。詳しくみていきましょう。
中性洗剤・アミノ酸系洗剤

中性洗剤など、多くの洗剤(界面活性剤)が得意とするのは、分子そのものは壊さず、「汚れがくっついている状態」を引き剥がすパターンです。油汚れの中でも新しいものには特に効きますので、日々の食器の洗い物や、ちょっとした汚れなどのお掃除に向いています。
界面活性剤という名前を聞いたことがあると思います。この言葉の意味知っていますか?まず界面というのは境界のことです。油と水は混ざりませんがそれが界面ですし、またコップに入った水と空気も界面となります。

ドレッシングも、水と油が分離していますね。

ただし気体同士は混ざり合うので界面を持ちません。次に活性という言葉ですが、「性質を変化させる働き」のことを指します。つまり界面活性とは、「境界の性質を変化させる」という意味を持ちます。
水と極性
水分子は極性を持っていて、「プラスとマイナスが引き合う」という電気的な性質同士で惹きつけあっています(静電気力)。この惹きつけ合いと水素結合と言います。こちらが水分子が極性を持つことの証拠です。帯電した風船を水に近づけると、水が風船に引かれて近寄ってきます。

水全体は電気的な中和状態になっていますが、水分子に電気の偏りがあるため、風船に引き寄せらレます。
界面活性剤は、水に溶けやすい部分(親水基)と、油に溶けやすい部分(疏水基・親油基)を持ったマッチ棒のような構造をしています。

イラストは、ChatGPTをつかって作成
- 「水が好きな頭」(親水基):水に溶けやすい部分(R-COO -の構造)。電気的な偏りがあるため、水と仲が良い。水と引き合います。
- 「油が好きな足」(疎水基・親油基):水には馴染まないが、油にピタッとくっつく部分(CとHの構造)。電子の偏りがほとんどなく、無極性です。油(脂肪酸やトリグリセリドなど)も同じく炭化水素を主成分とするため、これまた無極性です。無極性同士なので、すんなりなじみ合います。
コップの中に界面活性剤を入れると、親水基を下に向けて、疏水機を空気中に向けて整列します。モデル図にすると、

イラストは、ChatGPTをつかって作成
水と仲の良いもの(電気的な偏りがあるもの)、対して油と仲の良いものをまとめました。アルコールはその真ん中に位置します(ホワイトボードマーカーの汚れを落とす時にアルコールを使うと良いのはこのような事情によります)。

イラストは、ChatGPTをつかって作成
界面活性剤の入った水の中に、油よごれ等があると、界面活性剤が油と水の間に入り込んで、汚れを包み込みます(ミセル形成)。

イラストは、ChatGPTをつかって作成

画像はChatGPTを使って作成。
ミセルとは水中で界面活性剤の分子が集まってできる球状の集合体。
このとき、汚れの分子そのものは壊れていませんが、「汚れが壁にしがみついている力(分子間力)」を弱めて引き剥がします。これは「化学反応」ではなく、「物理的な引き剥がし」に近い現象です。
参考『図解入門よくわかる最新洗浄・洗剤の基本と仕組み』(秀和システム)
アミノ酸系洗剤も中性洗剤の仲間!

アミノ酸系洗剤は中性で、界面活性剤を使っているのでキッチンの中性洗剤と変わりません。界面活性剤は「親水基」と「親油基(疏水基)」からできていますが、アミノ酸系洗剤はこの親水基の部分に、グルタミン酸やグリシンなどのアミノ酸を使っているのが特徴です。言えば肌に優しいというメリットがあります。
マヨネーズ作りから学べること
なんと食品にも界面活性剤は入っているものがあります!こう聞くと驚く人もいるかもしれません。成分表などをみると、特にお菓子などで「乳化剤」などと書かれていることがあります。乳化剤についてwikipediaで調べてみると、
乳化剤(にゅうかざい、英: Emulsifier)は、乳化や起泡・消泡などの目的で使用される薬剤の総称。界面活性剤と同義であるが、食品用として使用される場合は界面活性剤と表記されることは稀である。
というように書かれています。このように乳化剤は界面活性剤なのです。食品に入っているものは基本的に乳化剤と表記することが多いようです。
では乳化とはなんでしょうか。牛乳は油が水の中に拡散しており、置いておいても分離していません。溶けるという定義から照らし合わせると、光を通さないので、溶けてはいないわけです。でも時間多いても沈澱・分離もしません。乳化とは互いに混ざり合わない液体の一方を微粒子にして、分散させることを言います。
マヨネーズとドレッシングはほとんど同じ材料でできています。
ドレッシングは、酢・油・塩で作ることができます。また酢と油は、水と油同様に仲が悪く(酢は水と仲がいい)分離をするので、使う前によく振って混ぜ合わせる作業が必要です。

ドレッシング 水と油が分離しています
それに対してマヨネーズは、酢・油・塩+卵黄(卵の黄身)でできています。マヨネーズは水と油を使っているにもかかわらず、分離をしていません。卵黄に含まれるレシチンという物質が界面活性剤(乳化剤)となって、酢と油の中を取り持ちます。こちらのを参考にして、実際に私もマヨネーズを作ってみました。
ベネッセ「マヨネーズをつくろう!」 https://benesse.jp/kyouiku/jiyukenkyu/cont/shogaku/147.html
なおハンドミキサーを使ったほうが楽にできます。手でやったら大変でした!!

卵黄を入れて

酢を入れて

かき混ぜていきます。そしてサラダ油を加えます。

さらにかき混ぜていくとマヨネーズの完成です。

界面活性剤と聞くと人工物のような気がするかもしれませんが、このように自然界の中にも界面活性剤はあります。ムクロジという植物の実も界面活性剤の成分があり、洗剤がわりに昔は使われていたそうです。
日常の洗い物のほか、排水口やシンク周りのヌメリなどの掃除も有効
中性洗剤は、日常の食器洗いのほかにも、排水口周りやヌメリなどにもある程度の効果があります(塩素系洗剤を使った方が効果はあります)。ヌメリの正体は、細菌が自分たちの周りに糖やタンパク質でできた粘液状の膜を張り巡らせ、その中で増殖している状態です。界面活性剤で膜を浮かせて洗い流します。海で生まれた私たち生命は自分と外界を油の膜で守っています。水と仲良しであると、中身が溶け出してしまい、維持ができなくなるためと考えられます。界面活性剤は水とも油とも仲良しなので、生命にとっては非常に怖い存在です。これが生き物にとっては日常的な予防に使えます。
参考『めんそーれ!科学』(岩波ジュニア新書)
窓のサッシに溜まった黒いゴミ
これは排気ガスなどの微粒子などが固まったもので、油を含んでいるものもあります。そうなると掃除機だとななかな吸いきれませんし、水だけではうまくとりさらうことができません。

そこでティシュペーパーにうたまろ洗剤などの中性洗剤をつけて拭き取ると、きれいに汚れを吸着することができます。中性洗剤に油が溶けて吸着するためです。

吸着させると言う目的からすると、キッチンペーパーを使うと毛細管現象が強いため、さらにその力が増します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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