キッチンは実験室!「水素結合」が引き起こす水と油の不思議なドラマ
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
キッチンは、驚きに満ちた科学の実験室です!ドレッシングを作る時、一生懸命振ってもすぐに分かれてしまう「水」と「油」。当たり前のような光景ですが、実はその裏には分子たちの熱いドラマが隠されているのをご存知でしょうか?今回は、そんな身近な不思議を解き明かす実験をご紹介します。
実験:水と油を混ぜてみよう
まずは、シンプルな実験からスタートです。透明なコップを用意して、次の手順で観察してみましょう。
- コップに水を入れます。
- そこにサラダ油をそっと注ぎます。
すると、すぐに油が浮かび上がり、「下に水、上に油」という二層に分かれます。これをかき混ぜ棒で力いっぱいかき混ぜてみても、しばらくすると……やはり油は上に、水は下にと元通り。何度やっても、彼らが手を取り合うことはありません。


見えない「壁」の正体は?
なぜ、水と油は頑なに混ざろうとしないのでしょうか。そこには、物質が持つ「極性(きょくせい)」という性質が深く関わっています。
水分子は「小さな磁石」
水分子は、電気的な偏りを持っています。プラスの性質を持つ部分とマイナスの性質を持つ部分があり、まるで小さな磁石のような状態です。これを「極性がある」と言います。水分子同士は、このプラスとマイナスで引きつけ合い、「水素結合」という非常に強い絆で結ばれています。彼らは仲間同士でギュッと固まり、スクラムを組んでいるような状態なのです。
油は「電気的にフラット」
一方で、サラダ油などの油分子には、このような電気的な偏りがほとんどありません。つまり「無極性」です。
化学の世界には「似たもの同士は溶け合う」というルールがあります。
- 極性があるもの(水など)は、同じく極性があるものと仲良くなれます。
- 無極性のもの(油など)は、無極性のもの同士で集まります。
水分子たちは、自分たち同士の「水素結合」による結びつきが強すぎるため、電気的な引き合う力を持たない油分子は水分子の中に入っていけないのです。水分子からすれば油を仲間外れにして押し出してしまうのです。その結果、水よりも密度が小さい(軽い)油は、水の上に押し上げられて層を作るというわけです。
「ものが水に溶ける」ということは、単に混ざるだけではなく、分子レベルで極性の相性が良いかどうかがとても大切なのです。私たちが毎日使う石鹸が汚れを落とせるのは、実はこの「水と仲の良い部分」と「油と仲の良い部分」の両方を持っているからなんでね。
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