『這い回る探究』って知ってますか?

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

理科の授業で実験をさせたのに、生徒が何も学ばずに終わってしまった——そんな経験、理科の先生なら一度は感じたことがあるのではないでしょうか。実はそのような状態を表す言葉が、理科教育の世界にはあります。

「這い回る探究」とは何か?

「這い回る探究」という言葉をみなさんは知っていますか?私は恥ずかしながら、先日行った公開研究会の協議会でこの言葉が出てきて、初めて知りました。この言葉は、理科教育の世界でよく使われる批判的な言葉なのだそうです。

探究学習のつもりで実験や調査をさせているのに、生徒がただ手を動かしているだけで、深く考えたり法則を発見したりする場面がない状態のことを指します。赤ちゃんや虫が地面を這うように、高さも方向性もなく、ただ表面をうろうろしているだけというイメージからきています。

画像はGeminiを使って作成

こんな場面、思い当たりませんか?

具体的には、次のような場面が「這い回る探究」にあたります。

・実験の手順通りに作業はできたけど、「なぜそうなるのか」を考えていない

・データは集めたけど、そこから何も読み取れていない

・「やった」で終わっていて、学びに結びついていない

どれも、一見すると「ちゃんと実験している」ように見えます。ところが、生徒の頭の中では何も起きていない。これが這い回る探究の厄介なところです。実は同じような問題意識は、科学教育の歴史の中でも繰り返し指摘されてきました。

リチャード・ファインマンは、「知識と理解は違う」と繰り返し語っていました。

公式を暗記することと、現象の本質を理解することは、まったく別のことなのです。這い回る探究は、まさにこの「知識と理解の溝」に生徒を落とし込んでしまう危険があります。

「這い回らない」探究をデザインするために

では、どうすれば這い回る探究を防げるのでしょうか。

鍵になるのは、「考えるための問い」を授業の中心に置くことです。「電圧を変えると電流はどうなるか?」という問いを自分で立て、自分でデータを取り、自分でグラフを描いてみる。その過程で初めて、生徒は「あ、比例しているんだ」という発見の瞬間を迎えます。手順を追うのではなく、問いを追うことが探究の本質です。

探究の設計には、このようなことにならないための工夫がとても大切です。公開研究会での協議会の一言が、授業づくりを見直すとても大切な気づきになりました。勉強になります。

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