【驚異】一匹の女王から始まる帝国!試験管の中に広がる命のドラマ
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
普段、私たちの足元を忙しそうに歩き回る小さなアリたち。彼らには、たった一匹のメスから数万匹の巨大な帝国を築き上げる「始まりの母」がいることをご存知でしょうか?今回は、そんな一匹の女王アリが繋いだ、小さな命のドラマについてお話しします。
予期せぬ贈り物と、家庭内の小さな騒動
先日、大学時代の先輩から、なんと「女王アリ」を譲り受けました。自分から「欲しい!」と熱望したわけではなかったのですが、理科教師としての好奇心がうずき、大切に家に持ち帰ろうとしたのです。

ところが、家に着くやいなや、妻から「気持ちが悪い!」と大反対を受けてしまいました。我が家には子どもがいて、せっかくの貴重な女王アリですが、泣く泣く育てることを断念し、知人の生物の先生に譲ることにしました。
実は、女王アリを飼育することは、生物学的にとても興味深いことなのです。多くのアリの種では、女王アリは結婚飛行を終えると自分の羽を落とし、たった一匹で狭い土の中に閉じこもります。そして、最初の働きアリが羽化するまで、自分の筋肉を分解した栄養だけで卵を育て続けるという、過酷なワンオペ育児をこなすのです。
届いた驚きの写真!命が繋がる瞬間
生物の先生に託してから数日後、私の元にこんな写真が届きました。先生は「毎日変化があって本当に楽しい!」と大興奮の様子です。

小さな試験管の中に広がる宇宙
ご覧ください、この白く小さな粒々を!これらはすべて、女王アリが産み落とした卵や幼虫です。アリの社会は「真社会性」と呼ばれ、一匹の女王が産卵に専念し、働きアリが子育てや食料調達を分担する高度な組織を作り上げます。この写真に写っている小さな命たちは、やがて働きアリとなり、女王を支える立派な帝国の一員になっていくのです。
生物の先生が感動していたポイントは、以下の3点でした。
- 卵から幼虫への変化: 毎日観察していると、卵が少しずつ大きくなり、幼虫としての形を作っていく様子が手に取るようにわかります。
- 女王の献身: 働きアリがいない間、女王アリは一口も餌を食べずに幼虫の世話を続けます。その生命力には圧倒されます。
- 寿命の不思議: 一般的な働きアリの寿命は数ヶ月から数年ですが、女王アリは種類によっては10年以上も生きることがあります。
一匹の女王アリから始まる物語。もし皆さんも道端で羽のない大きなアリを見つけたら、それは新しい帝国を建国しようとしている勇敢な女王かもしれません。足元の小さな世界に目を向けてみると、そこには人間顔負けのドラマが広がっていますよ!
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