Macが打ち間違いを学習しちゃった?AIも陥る「過学習」から脱出する自動変換のリセット術

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

皆さんは、私たちの脳がどうやって物事を覚えるか知っていますか?脳は、繰り返し入ってくる情報を「重要なもの」と判断し、神経細胞(ニューロン)のつながりを強くします。これを「学習」と呼びます。実は、Macの文字変換機能もこれと同じ仕組みで、私たちがよく使う言葉をどんどん学んで賢くなっていくのです。

しかし、この「学習」には落とし穴があります。今回は、科学的な視点から「賢くなりすぎたMac」をリセットして、快適なタイピングを取り戻す方法をご紹介します。

「過学習」にご用心!Macが少しずつ「おバカ」になる理由

Macの自動変換は、打てば打つほど自分の癖を覚えてくれる素晴らしいパートナーです。しかし、長く使っていると、ふとした時の「打ち間違い」まで律儀に覚えてしまいます。科学の世界やAI(人工知能)の開発現場では、これを「過学習(オーバーフィッティング)」と呼びます。特定のデータ(この場合は打ち間違い)に過剰に適応してしまい、肝心の「正しい変換」という本来の目的が果たせなくなる現象です。

一度、間違った神経の通り道ができてしまうと、なかなか修正されません。私のMacも2年ほど使い続けるうちに、変換ミスばかりを提案してくるようになり、一時はGoogle日本語入力に乗り換えようかと真剣に悩んだほどでした。

デジタルな「脳」をリフレッシュ!変換学習のリセット術

溜まってしまった「間違いの記憶」を消去し、Macの変換エンジンをピュアな状態に戻してあげましょう。これは、植物の成長を助けるために不要な枝を切り落とす「剪定」のような作業です。

手順は驚くほど簡単です。

  1. 「システム設定(旧:システム環境設定)」を開く。
  2. 「キーボード」を選択する。
  3. 「入力ソース」の項目に進む。
  4. 「日本語(ローマ字入力)」など、普段使っている入力ソースを選択する。
  5. 「変換学習」というセクションにある「リセット」ボタンをクリックする。

これだけで、システムの中に蓄積された不要な変換候補がすべて消え、クリーンな状態に戻ります。

数年に一度の「デトックス」で思考を止めない

私たちの体も、老廃物を排出する「デトックス」を行うことで健康を維持します。パソコンも同じです。数年に一度、このリセットを行うことで、変換のストレスという「ノイズ」を取り除き、本来の思考に集中できるようになります。「最近、Macの変換が自分の意図とズレてきたな」と感じたら、それは過学習のサインかもしれません。ぜひ、このリセット術を試して、思考と指先が直結するような快感をもう一度味わってみてください。

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