【理科の雑学】検流計「ガルバノメーター」に隠された、カエルの足の不思議な物語
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
理科の授業で見かける、あの「検流計」。

よくみると検流計には、「ガルバノメーター」と書かれています。
なぜこんな少し不思議な響きの名前がついているのか、疑問に思ったことはありませんか?「ガルバノ」という言葉自体に「電流を測る」という意味があるのかと思いきや、実はそこには一人の科学者の情熱と、カエルを使った驚きの実験という、意外な物語が隠されていました。今回は、検流計の名前に秘められた科学の歴史を紐解いていきましょう!
きっかけは「カエルの足」の不思議な動き!?
検流計が「ガルバノメーター」と呼ばれる理由は、18世紀に活躍したイタリアの医師・科学者、ルイージ・ガルヴァーニ(1737年~1798年)の名前に由来しています。
ある日のこと、彼は解剖したカエルの足に2種類の異なる金属を同時に刺してみました。すると、死んでいるはずのカエルの足が、まるで生きているかのようにピクッ!と激しく痙攣(けいれん)したのです。これを見たガルヴァーニは、腰を抜かすほど驚いたに違いありません。
彼はこの現象を見て、「カエルの体の中に電気が蓄えられていて、それが筋肉を動かしたのだ!」と考えました。これを彼は「動物電気説」として発表したのです。
「動物電気」が教えてくれた科学の進歩
現代の私たちは、カエル自体が電気を作っているわけではなく、「2種類の異なる金属」と「体液」が反応して電気が流れた(電池の原理)ことを知っています。実際に、ガルヴァーニの友人であったボルタという科学者がこの矛盾を見抜き、世界初の電池である「ボルタ電池」を発明することになります。
ガルバーニの動物電気-中学 | NHK for School
しかし、ガルヴァーニが発見した「微弱な電気で筋肉が動く」という現象は、当時の科学界に大きな衝撃を与えました。この発見をきっかけに、「ごくわずかな電流を検知する装置」の開発が進み、彼の功績を称えて「ガルバノメーター(検流計)」と名付けられたのです。
「いや、カエルは関係ない!」ライバル・ボルタの反論
この「動物電気説」に真っ向から異を唱えたのが、同じイタリアの科学者、アレッサンドロ・ボルタでした。ボルタは、電圧の単位「ボルト(V)」の名前の由来にもなっている人物です。
彼は、カエルの足が動いたのはカエル自身が電気を持っていたからではなく、「2種類の異なる金属」が「カエルの体の水分」を介して触れ合ったことで電気が発生したのだと考えました。つまり、カエルは単に「電気を通す通り道(電解質)」に過ぎない、と主張したのです。
ボルタはこの自分の考えを証明するために、塩水に浸した布を2種類の金属(亜鉛と銅)で挟み、それを何層にも積み重ねた装置を作りました。これが、世界初の電池である「ボルタ電池」です。ボルタの予想通り、カエルがいなくても電気を発生させることに成功したのです。
科学の発展は「熱い議論」から生まれる
結果として、電気の正体を見抜いたのはボルタの方でした。しかし、ガルヴァーニが「微弱な電気で筋肉が動く」という現象を見つけたことがなければ、ボルタが電池を発明することも、私たちが電気を自由に操る時代が来ることも、もっと遅れていたかもしれません。
ちなみに、英語で「刺激を与える」「活気づける」という意味の「galvanize(ガルバナイズ)」という言葉も、彼の名前からきています。カエルの足がピクッと動いた瞬間の驚きが、今の科学用語や日常英語にも生き続けているなんて、とても面白いですよね。
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