固体になると縮む?増える?電気鍋で挑む「ロウの不思議」実験方法
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
今回は、理科の実験室から、ロウ(ワックス)を使った驚きの実験について、その方法や注意点などをお届けします。目に見えない小さな粒子の世界を想像しながら、物質の不思議を一緒に解き明かしていきましょう!
ロウの正体とその不思議な融点
実験を始める前に、まずは主役の紹介です。今回使うのは固形パラフィン。私たちが普段使っているキャンドルなどの材料です。
ロウの融点(溶け始める温度)は種類によってさまざまですが、一般的なパラフィンワックスなら約47°C〜64°C。お風呂よりは熱いけれど、火傷に気をつければ家庭でも扱いやすい温度です。この「少し温めれば液体になり、放っておけば固体に戻る」という絶妙な性質が、今回の実験の鍵となります。
実験の準備:プロの道具選び
実験をスムーズに進めるための精鋭メンバーはこちらです。
ろう(固形パラフィン)
ビーカー
電気鍋(これ、実は実験の神アイテムです!)

電子天秤(質量を精密に測ります)
マジック(液面の高さを記録するため)
保護眼鏡・軍手(安全第一!)
特に電気鍋は、温度調節がしやすく、お湯を沸かして「湯煎」するのに最高に便利です。一つ持っておくと、科学工作の幅がグッと広がりますよ。
実験スタート!刻々と変わる姿を追う
手順はいたってシンプルですが、観察するポイントが重要です。
手順0:液体の準備 まずはビーカーに入れた固体のロウを電気鍋で湯煎し、ドロドロの液体にします。

手順1:液面の記録 配られた液体のロウの表面に注目!マジックでビーカーの外側に、現在の液面の高さにシュッと線を引きます。

手順2:質量の測定(液体) 電子天秤にのせて、この時の全体の質量(液体+容器)を測定して記録します。
手順3:忍耐の冷却タイム そのまま放置して、完全に白く固まるまでじっくり待ちます。だいたい40分くらい、語らいながら待ちましょう。
手順4:質量の測定(固体) 完全に固まったら、再び電子天秤で全体の質量を測定します。
結果
質量は変わりません。ただし水滴がはじめについていると、その重さのぶんが前後で蒸発するなどしてわずかに減ることがあります。
また体積を見てみると、面白いです。液面の位置は変わっていませんが、上から覗くと中央が凹んでいるのが分かります。


仮説を立ててみよう!
ここで、物質の正体を「小さな粒子の集まり」だと考えて、実体的な見方をしてみましょう。
質量(重さ)はどうなるでしょうか? 状態が液体から固体に変わっても、中に入っている粒子の数そのものが勝手に増えたり減ったりすることはありません。ということは、重さは変わらないはずです。
体積(かさ)はどうなるでしょうか? 液体は、粒子が自由に動き回っている「ダンスホール」のような状態です。しかし、冷えて固体になると、粒子たちは動きを止めて規則正しく整列します。整列すると、粒子同士の隙間がギュッと詰まるはず。ということは、体積は小さくなるのではないでしょうか?
ではなんで、中央が凹んだ形でになるのでしょうか?中央が凹んだのは、外側から冷えて固まっていき、最後に残った中心部が収縮に耐えきれず引き込まれた証拠です。
実は、世の中のほとんどの物質は、ロウと同じように「固体になると縮む」性質を持っています。しかし……私たちが一番身近に接している水だけは、固体(氷)になると逆に膨らむという、科学界の「超・ひねくれ者」なんです。水については、また別の機会にお話ししましょう!
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