【科学監修】静電気発生装置「雷神(バンデグラフ)」の撮影協力「火曜は全力!華大さんと千鳥くん」

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

皆さんは、テレビのバラエティ番組で、タレントさんの髪が面白いほど逆立っているのを見て、思わず笑ってしまった経験はありませんか?あの愉快な光景の裏側には、実はミクロの世界で起こる、とても興味深い科学の力が隠されています。先日、そんな科学の面白さを伝えるお手伝いをさせていただきました。

人気番組の舞台裏!静電気発生装置「雷神」が登場

先日、関西テレビの番組「火曜は全力!華大さんと千鳥くん」にて、静電気発生装置**「雷神(バンデグラフ)」**の撮影協力と科学監修を行いました。

この「雷神」、一見すると大きな銀色のボールがついた不思議な機械ですが、これが冬場にドアノブで「ビリッ!」とくる、あの静電気を何十万ボルトという強力なレベルで発生させることができる装置なのです。番組では、この装置を安全に、そして最大限に面白く使っていただくために、電圧を上げるためのベルト調整のコツや、どうすれば体に電気がうまく流れるかといった技術的なアドバイスをさせていただきました。

2023年1月31日に放送され、TVerなどでもご覧いただけたようです。坂上忍さんや千鳥のお二人が、見事にリアクションをとってくださり、科学実験としては大成功だったのではないかと嬉しく思っています。

なぜ髪は逆立つ?ミクロの世界で起こる大反発

では、なぜ雷神に触れると髪の毛が逆立つのでしょうか?

私たちの身の回りにあるすべての物質は、目には見えない**「プラス(+)」と「マイナス(ー)」**の電気の粒でできています。普段はこのバランスが取れているのですが、物がこすれ合うなどの刺激で、マイナスの電気(電子)が一方へ移動してしまうことがあります。これが「静電気」の正体です。

雷神は、内部のベルトを高速で回転させることで摩擦を起こし、このマイナスの電気を大量に作り出して、上の金属球に溜め込みます。その球に人が触れると、溜まった電気が一気に体へと流れ込みます。すると、体中、そして髪の毛の一本一本までが同じマイナスの電気を帯びることになります。

電気には、**「同じ種類の電気(マイナスとマイナスなど)は反発しあい、違う種類の電気(プラスとマイナス)は引きつけあう」**という大切な性質があります。そのため、同じマイナスの電気を帯びた髪の毛同士が「俺の隣に来るな!」とばかりに互いに反発しあい、結果として面白いように逆立ってしまうのです。

「ビリッ」だけじゃない!雷からコピー機まで、静電気は社会の立役者

実は、この静電気という力は、私たちの暮らしや壮大な自然現象にも深く関わっています。

例えば、空に輝く**「雷」**。これも、雲の中にある氷の粒同士が激しくこすれ合うことで発生した、いわば地球規模の巨大な静電気(放電現象)なのです。そう考えると、雷神で髪が逆立つのは、小さな雷を体で受け止めているようなもの、と言えるかもしれませんね。

さらに、もっと身近なところでは**「コピー機」**にも応用されています。コピー機は、静電気の「違う種類の電気は引きつけあう」という性質を利用して、トナーと呼ばれる色の粉を紙の特定の部分に付着させて印刷しているのです。このように、テレビ番組を面白くするだけでなく、自然現象からハイテク技術まで、静電気は様々な場面で活躍するスーパーパワーなのです。

普段何気なく見ているテレビ番組や日常の現象も、少し科学の視点を加えるだけで、世界がもっと面白く、深く見えてきます。ぜひ皆さんも、身の回りの「なぜ?」を探してみてくださいね。

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