キッチンでできる物理学!ゆで卵と生卵を見分ける「回転の秘密」(エネルギーの視点)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

キッチンで「あれ、どっちがゆで卵で、どっちが生卵だっけ?」と困ったことはありませんか?見た目は全く同じ卵たちですが、実は「回すだけ」で、その正体を一瞬で見破ることができるのです。今回は、お料理中にすぐ試せる、不思議で深~い「卵とエネルギー」の物語をご紹介します。

卵を回せば「中身」がわかる!

まずは、こちらの写真をご覧ください。見た目には何の変哲もない2つの卵です。

これらをテーブルの上で指ではじいて回してみると、驚くほどはっきりと差が現れます。実際の様子を動画で撮影してみました。

いかがでしょうか?コマのようにシャカシャカと力強くよく回るのがゆで卵。一方で、重たそうにフラフラとしてすぐに止まってしまうのが生卵です。

なぜ生卵は回るのが苦手なの?

同じ卵なのに、一体なぜこんなに差が出るのでしょうか?「中身が固まっているか、液体か」という違いを、物理学のエネルギーという視点で考えてみると、非常に面白いことがわかります。

ゆで卵の場合、中身がしっかりと固まっているため、殻に与えた回転の力がそのまま卵全体に伝わります。そのため、効率よく回り続けることができます。しかし、生卵はそうはいきません。生卵の中身はドロドロの液体です。殻を指で回しても、中の液体は「止まっていよう」とする性質(慣性)があるため、すぐには殻と一緒に動き出しません。すると、動こうとする「殻」と、止まっていようとする「液体」の間で、激しい摩擦力が生まれるのです。

消えた「回転エネルギー」の行方

物理の世界では、この摩擦力が「ブレーキ」のような役割を果たし、回転の邪魔をすることを負の仕事をすると言います。生卵に与えられた回転の運動エネルギーは、この摩擦力によってどんどん奪われてしまいます。では、奪われたエネルギーはどこへ行くのでしょうか?

実は、殻と中身がこすれ合うことで、目に見えないほどわずかな熱エネルギーに姿を変えているのです。全体のエネルギーの合計は変わらない(エネルギー保存の法則)のですが、「回るためのエネルギー」が「熱」に変わって逃げてしまうため、生卵はすぐに止まってしまうというわけです。

科学の目で見れば、キッチンは実験室

ゆで卵はエネルギーを上手にキープし、生卵はエネルギーを熱に変えて消費してしまう……。たった一つの卵を回すだけでも、宇宙の基本法則であるエネルギーのドラマが繰り広げられているなんて、ワクワクしませんか?次に卵料理を作るときは、ぜひ「エネルギーの変換」を指先で感じながら、くるくる回してみてくださいね!

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