港もプールも火山のしわざ!伊豆大島を歩いてわかる噴火の歴史(伊豆大島)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
伊豆大島に行ってきました。1日目に引き続き、2日目の7月28日は島の南東に位置するカルデラが港になった「波浮港」(はぶみなと)の近くの宿に泊まって、朝港の散策に行ってきました。

この港は、もともと火山活動でできたくぼ地が、後に海とつながり、天然の良港として利用されるようになったのです。火山がつくった地形が、そのまま人々の暮らしを支える港になっている。自然の力と人の営みが重なり合う、興味深い場所です。

溶岩がつくった天然のプール「トウシキ遊泳場」
この港の近くにあるトウシキ遊泳場では、過去に何度もくり返されてきた噴火によって流れ出た溶岩が、長い年月をかけて自然のタイドプールをつくり出しています。



透き通った海に飛び込めば、カラフルな魚たちや、岩場に隠れるカニの姿もたくさん見ることができました。

溶岩が固まってできたごつごつした岩場は、波の力を受け止める「壁」のような役割を果たし、その内側に穏やかな水たまりを生み出します。

同じ溶岩でも、流れ方や冷え固まり方によって、こんなにも豊かな生き物のすみかになるというのは、火山と生態系のつながりを感じさせてくれる場所ですね。

海岸には溶岩の跡が見えて、

島を見ると火山灰の地層が見えます。
石が空から降ってきた跡「カキハラ磯のボム・サッグ」
遊水場で泳いだあとは、そこから車で北に向かいました。カキハラ磯では、「ボム・サッグ」と呼ばれる、なんとも不思議な地形をたくさん見ることができます。
京都の枯山水に似ているなとも感じました。
ボム・サッグを英語で書くと、(bomb sag)となり、
Bomb(ボム):爆弾、爆ぜる(はぜる)火山学での意味:火山弾(かざんだん)
Sag(サッグ):沈む、たわむ、垂れ下がる火山学での意味:重みによる窪み(くぼみ)
ということで、ボム・サッグとは、空から飛んできた石が地面にめりこんでできた「へこみ」のことです。
約2800年前、この海岸付近では、マグマと海水が直接ふれ合うことで起こる爆発的な噴火「マグマ水蒸気爆発」が発生しました。このとき勢いよく噴き飛ばされた噴石が、まだ湿ってやわらかい火山灰の地面に、まるで隕石のように激しく落下し、深いへこみの跡を残したのです。

その後、まわりの地面は長い年月をかけて波や雨にけずられ、少しずつ低くなっていきました。しかし、噴石がめりこんだ部分だけは、落下の衝撃によって地面がぎゅっと強く締め固められており、さらに石そのものが傘のように上からふたをする役目を果たしたため、まわりよりも侵食を受けにくくなりました。

こうして、頭に石をのせた塔のような、ちょっとふしぎな地形の列が生まれたというわけです。まわりが低くなっていく中で、硬い部分だけが取り残されて高く突き出す。これは差別侵食(さべつしんしょく)と呼ばれる現象で、実は世界中のさまざまな奇岩や地形にも共通するしくみです。
火山の「血管」がむき出しになった「筆島」
このボム・サッグの後ろに見えるのが、海に向かって突き出た、まるで筆の穂先のような岩、それが筆島です。これは、数十万年前まで活動していた古い火山「筆島火山」のマグマの通り道「火道」にあった、特に硬い岩の部分です。周囲のやわらかい部分が波にけずられてなくなった後も、この硬い岩の部分だけが取り残され、今のような塔のような姿になったのです。


対岸の崖に目を向けると、波にけずられたことで、筆島火山の「お腹の中」がまるごとあらわになっています。
その後、さらに北に向かって大島公園動物園に行きました。この動物園のすごいところは、無料!だというところです。さらに「泉津の切通し」を見て、島を車で一周してまた元町港まで戻ってきました。元町港では、ふれあい民宿「椿山」に泊まりました。
海に並んだ古い火山の物語から始まり、噴火を重ねてひとつの島となり、そして今、港やタイドプール、不思議な岩の地形として、その歴史の痕跡をあちこちに残している伊豆大島。地学的にとても興味深くて面白い島です。
3日目へ
伊豆大島は「これ描いて死ね」(作者 とよ田みのる)さんの舞台になっている島です。とよ田さん自身が、大島出身だとのこと。家に帰ってから読んでみたのですが、創作の苦しみについて描かれている本で、私も参考書を出版した時に自分で1〜10まで書いた原稿を持っていって、何度も断られたのを思い出してシンクロしました。とても良い本です。

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