情報過多時代の落とし穴。スマホでなんでも調べられるのに、なぜ賢くならないのか

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「なんでも調べられる時代」なのに、なぜ子どもは賢くならないのか

「塾に行けば、特別な必勝法を教えてもらえる」——私が受験生だった頃は、そんな感覚がありました。塾の先生だけが知っている「解き方のコツ」があり、それを知っているかどうかで差がつく。そう信じられていた時代です。

ところが今はどうでしょうか。インターネットで検索すればどんな解説動画も出てきますし、AIに質問すれば、その場で丁寧に解き方を教えてくれます。かつて塾に行かなければ手に入らなかった知識が、スマートフォン一つで誰でも、いつでも手に入る時代になりました。

それなのに、今の子どもたちが昔の子どもたちよりも格段に頭が良くなっているかというと、正直そうは感じません。これは一体なぜなのでしょうか。

環境が変わっても、人はそう簡単には変わらない

情報へのアクセスのしやすさという「環境」は、この数十年で劇的に変化しました。しかし、それを使う「人間」そのものは、実はそこまで変わっていないのかもしれません。

道具がどれだけ便利になっても、それを手に取って使おうとする気持ちがなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。これは科学の世界にも通じる話で、どんなに優れた実験装置や観察機器があっても、それを使って「知りたい」と思う好奇心がなければ、新しい発見にはつながりません。道具の進化と、それを使う人の意欲の成長は、必ずしもイコールではないのです。

本当に大切なのは「学びに向かう力」

ここで見えてくるのが、勉強が楽しいと思えるかどうかという、とてもシンプルな、けれど核心を突いた問いです。

どれだけ良い教材があっても、どれだけ優秀な先生がついても、本人が「知りたい」「解けるようになりたい」と思っていなければ、その学びは表面的なものにとどまってしまいます。逆に、たとえ環境に恵まれていなくても、自分から興味を持って調べたり考えたりする子は、驚くほど深いところまで理解を進めていきます。

学びに向かう力とは、言い換えれば「自分のエンジンで走れるかどうか」ということなのだと思います。

塾に通う時間、本当に効率的でしょうか

ここで少し立ち止まって考えてみたいのが、塾に通うことの「効率」についてです。

塾に行けば、たしかにその時間は勉強に向き合います。しかし、そこには忘れられがちなコストがあります。それは移動時間です。行き帰りの時間を含めて考えると、実際に机に向かって思考している時間はどれくらいあるでしょうか。もし同じ時間を、自分のペースで、自分の興味関心に沿って学ぶ時間に使えたなら、もっと深く、もっと効率よく学べるのではないか——そんな風に思うのです。

塾を例にしましたが、子供が大切な青春時代に何に時間を使うのか?はとても大切なのではないかと思うのです。部活や外で遊ぶ時間を塾に行って勉強をする時間に多く割いてしまうんは、どうなのだろうかと。

自分で学び、自分で楽しめる子どもへ

情報があふれる時代だからこそ、これからの子どもたちに本当に必要なのは、「教えてもらう力」ではなく「自分で学びを見つける力」なのだと思います。

わからないことがあったとき、誰かに聞く前にまず自分で調べてみる。調べているうちに、思いがけない発見に出会って、ちょっとワクワクする。そんな経験を積み重ねていくことで、勉強は「やらされるもの」から「自分で楽しむもの」へと変わっていくはずです。

私は物理が好きだったのですが、物理の数式が理解できず、なぜそうなっているのかを調べていくと、微積にたどり着いてしまって、数学がこれはわからないぞとなって調べていくと言うような深みにハマっていった感覚がありました。

ただこうなるためには、ある程度の勉強するクセや基礎力が必要なのかと思っています。そこで夏休みには子供に勉強を定期的に自分からやるように仕向けようとしているわけです。

「宿題したら5ポイント!」我が家の夏休みが変わったごほうび作戦の科学

これは理科の実験にもよく似ています。答えを先に教えられるよりも、自分の手を動かし、自分の目で確かめて「あ、そういうことか」とわかった瞬間の方が、記憶にも心にも強く残ります。学びとは本来、そうした発見の連続であるべきなのだと、私は考えています。

お問い合わせ・ご依頼について

科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中

科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!

NEW 分解問題集 理科

  • 7月21日発売!『高校入試 分解問題集 理科』(学研)…難しい問題も小さな問題に分解することで、問題を解くことができます。そんな分解の技術が身につくように深く関わりを持って作りました。

7月のイチオシ実験!

夏でプシュッと爽やか実験!

小型で持ち帰れるよ!ペットボトルロケットを作ろう!

テレビ番組監修・イベント等のお知らせ

書籍のお知らせ

  • 『大人のための高校物理復習帳』(講談社)…一般向けに日常の物理について公式を元に紐解きました。特設サイトでは実験を多数紹介しています。※増刷がかかり6刷となりました(2026/02/01) スクリーンショット 2014-07-05 0.43.51
  • 『きめる!共通テスト 物理基礎 改訂版』(学研)… 高校物理の参考書です。イラストを多くしてイメージが持てるように描きました。授業についていけない、物理が苦手、そんな生徒におすすめです。特設サイトはこちら。

各種SNS(更新情報をお届け!)

【日本語】X(Twitter)instagramFacebook 【英語】BlueSkyThreads

Explore

  • 楽しい実験…お子さんと一緒に夢中になれるイチオシの科学実験を多数紹介しています。また、高校物理の理解を深めるための動画教材も用意しました。
  • 理科の教材… 理科教師をバックアップ!授業の質を高め、準備を効率化するための選りすぐりの教材を紹介しています。
  • Youtube…科学実験等の動画を配信しています。
  • 科学ラジオ …科学トピックをほぼ毎日配信中!AI技術を駆使して作成した「耳で楽しむ科学」をお届けします。
  • 講演 …全国各地で実験講習会・サイエンスショー等を行っています。
  • About …「科学のネタ帳」のコンセプトや、運営者である桑子研のプロフィール・想いをまとめています。
  • お問い合わせ …実験教室のご依頼、執筆・講演の相談、科学監修等はこちらのフォームからお寄せください。