【科学監修】「ザ!鉄腕!DASH!!」シュノーケリングはどこまで可能か?

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

皆さんは、透き通った海の中を覗けるシュノーケリングを楽しんだことはありますか?水面に浮かびながら、まるで鳥のように水中世界を眺めるのは最高の体験ですよね。

ところで、こんなことを考えたことはありませんか?「もし、あのシュナーケルの筒がもっと長かったら、もっと深く潜れるのに…」と。実は、その素朴な疑問の裏には、私たちの命に関わる大切な科学が隠されているのです。

先日、その秘密について、日本テレビの人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」の制作チームからご質問をいただき、科学監修という形で協力させていただきました。

「ザ!鉄腕!DASH!!」( 19:00-19:56) 2025年9月21日放送回

鉄腕DASHの放送画面

今回は、番組でお答えした内容を、さらに深掘りして解説します!

シュノーケルで潜れる限界は、なぜ「50〜60cm」なのか?

番組では「シュノーケリングのできる限界は?」という問いに対し、「大体50〜60cmくらい」とお答えし、テロップで紹介されました。市販のシュノーケルがだいたい40cm前後なのも、この限界が考慮されているからです。「え、たったそれだけ?」と思いますよね。もっと長いホースを使えば、水深1m、2mと潜れそうな気がします。しかし、それを行うのは非常に危険です。その理由は、大きく分けて2つあります。

理由1:目に見えない巨大な力「水圧」

水の中に入ると、私たちは水の重さによる圧力、つまり「水圧」を受けます。プールやお風呂ではあまり感じませんが、深く潜れば潜るほど、水圧はどんどん強くなります。例えば、たった水深1mに潜るだけで、私たちの胸には約100kgもの圧力がかかると言われています。これは、あなたの胸の上に大人の男性が一人乗っているのと同じくらいの力です!

そんな強い力で胸を押さえつけられながら、長いホースで水面の空気を吸おうとしても、肺を膨らませることができません。息を吸うための筋肉が、水圧に負けてしまうのです。番組でタレントさんが「肺活量めっちゃ使う!」と体感していましたが、まさにこの水圧と戦っていた証拠なのです。

理由2:吸っているのは「自分の吐いた息」?

もう一つの危険は、ホースの中にあります。私たちが息を吐くと、ホースの中は二酸化炭素で満たされます。ホースが短ければ、次の呼吸で新鮮な空気を吸えますが、長すぎるとどうなるでしょうか?そうです。せっかく吸い込んでも、ホースの中に残っていた二酸化炭素を再び吸ってしまうことになるのです。これを繰り返すと、体はどんどん酸欠状態になり、意識を失う危険さえあります。専門的には、この呼吸に関わらない空間を「死腔(しこう)」と呼び、シュノーケルが長くなるほど死腔が増えて危険になるのです。

詳しくはこちらをご覧ください。

水遁の術やシュノーケル呼吸の限界は「60cm」だった!その意外な理由とは?

身近な道具に隠された科学の知恵

いかがでしたか?普段何気なく使っているシュノーケルが、実は「水圧」と「死腔」という2つの科学的な理由に基づいて、安全な長さに設計されていることがお分かりいただけたかと思います。身の回りの道具には、このように科学の知恵がたくさん詰まっています。「なぜだろう?」という小さな疑問が、世界を面白くする第一歩です。これからも、そんな科学の楽しさをお伝えしていきたいと思います!

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