採点革命!5時間が2時間に!?デジタル採点システム「百問繚乱」を徹底活用する!

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

実験準備や授業の工夫はもちろんのこと、生徒一人ひとりの理解度を測るテスト採点は、非常に重要な業務ですよね。限られた時間の中で大量の答案を採点し、さらにその結果を分析するのは、かなりの労力と時間を要します。特に、生徒の記述式の解答や実験レポートなど、細かく見るべき点が多い理科のテストでは、その負担は計り知れません。

「もっと効率的に採点できないものか…」「生徒へのフィードバックを迅速に行いたい…」そうお考えの先生も多いのではないでしょうか? そんな先生方にぜひおすすめしたいのが、デジタル採点システムです。このシステムを使えば、これまで手作業で行っていた採点業務の多くの部分を自動化・効率化でき、採点時間の短縮だけでなく、生徒への得点率等のフィードバック、さらには成績管理までを一元的に行うことが可能になります。

通常時は5時間くらいかかっていた作業。というのも採点をして、得点データをエクセル入力して正答率分析、、間違いがないかを見直して、それをさらに校務システムに入れる、ここでも間違いがないかのチェックをする。

本校で使用しているのは「百問繚乱(ひゃくもんりょうらん)」というシステムですが、デジタル採点のすごいところは、採点時の効率化とミスの減少、瞬時に正答率分析等が作られる点にあり、全て含めて2時間くらいで終わるにようになりました!まさに革命的です。

今回は、このデジタル採点システム「百問繚乱」を理科のテスト採点に最大限活用するための、事前準備から採点、そして採点後の活用までを、具体的な手順と役立つ小技を交えながら徹底解説します。これを読めば、あなたの採点業務が劇的に変わり、生徒と向き合う時間も、ご自身の時間も、もっと豊かになるはずです!

※ なお百問繚乱以外のデジタル採点システムも多数あります。他校の先生に聞くと、やはり同じような使い勝手で、時短になるという評判は変わりません。業者との契約になるので、それぞれの採点システムを比較して学校の実情にあったものを入れると良いでしょう。私自身は「百問繚乱」推しというわけではありませんが、使いやすいシステムであることは確かです。

事前準備:採点効率を最大化する「百問繚乱」の設定術

「百問繚乱」を使いこなすには、最初の設定が肝心です。ここをしっかり準備しておくことで、後々の採点作業が驚くほどスムーズに進みます。管理者の方は、生徒の名前の登録や、それぞれ先生方の登録や権限等(採点のみをする人にするか)などを決めて事前に登録をしておきます。

1. 試験管理:テストの基本情報を設定する

まずは、試験の基本情報をシステムに登録しましょう。

  • 試験科目の作成: 「試験管理」メニューから、採点するテストの科目(例: 理科、理科1年 など)を作成します。これにより、複数のテストを管理しやすくなります。
  • 模範解答の読み取り: ここが重要ポイントです!
    • 模範解答用紙をPDFデータとしてシステムに読み込ませます。この際、模範解答用紙と生徒の解答用紙の解答欄がぴったり重なるように調整して作成してください。またPDFに文字データが残っているとうまく読み込んでくれません。そのような場合は、一度JPEG形式などで書き出してから、画像で読み取るとうまくいきます。

2. 採点設定:採点枠と配点をカスタマイズする

模範解答を読み込んだら、次に採点に関する詳細を設定します。

  • 模範解答読み込みと枠作成: システムが自動で採点枠を作成してくれます。初期設定では「中サイズ」の枠が自動で作成されますが、不要な枠は削除しましょう。また、この段階でクラス情報は使う必要がありません(クラスごとに採点するシステムのため)
  • 枠の分類と設問No.:
    • 採点枠を「出席番号」「名前」「合計点」「問題」「知識・技能」「思考・判断・表現」などの観点に分類します。これにより、採点結果を多角的に分析できるようになります。
    • その後、各設問の枠に設問No.を順番に振っていきます。(設問Noは上から振っていけばいいだけです。これを振ることで、それぞれの枠の番号をシステムに設定していくという作業です)
  • 自動採点の設定:
    • ア・イ・ウなどの記号問題は積極的に登録しておきましょう。自動で読み取られて採点されます。ただし後に本当に合っているかは目視で確認する必要があります。
    • なお、自動採点は便利ですが、結局はそれが合っているのかを目視で確かめる必要があるので、アイウ以外の点では、あまり多用をしない方が良いようにも思いました。数式などは採点結構ミスがあります。
  • 配点設定: 各設問の配点を正確に入力し、合計点が正しいか必ず確認しましょう。
  • 観点ごとの集計設定: 理科では、「知識・技能」「思考・判断・表現」など、学習指導要領に基づく観点別評価が重要です。それぞれの観点に該当する設問の配点を設定し、観点ごとの合計点が最終的な合計点と一致するかどうかを確認します。
  • 小計の設定: 必要に応じて、大問ごとの小計なども設定しておくと、採点中の進捗確認や、後々の分析に役立ちます。

ここまでが、テスト採点を始める前に済ませておくべき重要な準備です。だいたい1つのテストで15分程度でしょうか。事前準備に15分かかれど、その後の作業でグッと効率化できるので、ここまでは辛抱してください。


採点フェーズ:デジタル採点で効率的に答案をチェック!

事前準備が整ったら、いよいよ採点作業に入ります。

  1. 答案のスキャンとデータ化:

    • テストが終了したら、クラスごとに欠席者を確認し、欠席者の答案がない状態でスキャナーで答案を読み込みます。PDFデータはクラス単位で用意します。
    • 解答用紙が片面の場合:スキャナで書類を読み込むときに、片面にして読み込むことが必要である(自動設定だと、筆圧の濃い生徒が両面読み取られてしまう)
  2. システムへの答案読み込みと名寄せ:

    • 「採点」メニューから、スキャンした答案のPDFデータをシステムに読み込みます。
    • 欠席者にはチェックマークを入れ、名寄せ作業を行います。これは、システムが自動認識した答案と生徒情報を正確に紐づける作業です。これは結構大切です!ずれがないかを確実にチェックしましょう。
  3. いざ採点!:

    ・採点をする際は、全生徒を串刺しにしましょう。通常だと上にAクラスなど入っていますが、ここを全クラスにします。この切り替えを忘れずに!


    自動採点部分の確認
    : まずは、システムが自動採点した部分(記号選択や数値入力など)が正しく採点されているかを確認します。なお注意点として、アイウなどの記号の精度は高いのですが、数字などの精度が低いので、自動採点についてはあまり多用しないことをお勧めします。最低限で設定という感じですね。

    手動採点:
    ・自動採点されなかった問題についてみていきます。単純に正誤が判断できるものについてはじめに行います。
    ・理科講師の先生などがいたら、その先生には文章題などの複雑な問題について1人でやってもらいます。判断のずれがないようにするための工夫です。一人でやってもらい、途中で助っ人が入らないようにしましょう。
    採点方法
    ・o または zキー: 正解として採点します。
    xキー: 不正解として採点します。
    1~9の数字キー:部分点を入力・確定します。

    採点が終わったら保存します。

採点後:フィードバックとデータ活用で次につなげる!

採点が終わったら、その結果を最大限に活用しましょう。

  • 個票+答案の印刷と返却:
    • 「百問繚乱」では、生徒一人ひとりの個票と、縮小された答案PDFをセットで印刷する機能が非常に便利です。これを解答用紙と合わせて生徒に返却することで、生徒は自分の回答と採点結果、そして詳細なフィードバックを一覧で確認できます。
    • 印刷する際は、学年平均点などを表示し、2色(例: 黒と赤)で、レーザープリンター(グレースケール設定)で打ち出すと、視認性が高く、かつインク代も節約できます。前回はデータを作る際に、学年平均・2色にして、レーザープリンター(グレースケール)で打ち出しました。

      答案PDFの画面より対象クラスを全クラスにして作成をすると便利です。

答案PDFの個表+答案(縮小版)だと、分析も一緒になって出てきて生徒にとっても非常に大きなメリットがあります。本校では、読み込んだ紙と一緒に答案PDFを紙で打ち出したものを渡しています。紙の使用が多くなるのでそこが問題ですが、GoogleClassroomに返却することも可能な機能がついています(別途契約が必要)。

採点ミスが発覚したら!

 答案返却時に、採点ミスが発生したら、生徒の答案を回収する必要はありません。デジタル採点ですでに取り込んでいるからです。答案+個表PDFを回収して、デジタル上で採点をやり直して、新しいものを渡します。

お休みをした生徒がいた場合

 別日の受験後に回収をして、その後同じように読み込ませて追加で採点することができます。

校務システムへの取り込み

    • 採点結果をCSV形式などで出力し、Excelに書き出すことができます。これを貼り付ければ良いでしょう。設問ごとの正答率や、観点別の達成状況を把握することで、次回の授業改善や、生徒への個別指導に役立てることができます。

このように、デジタル採点システムを使いこなせば、採点業務の負担が軽減されるだけでなく、生徒一人ひとりの学習状況をより深く理解し、質の高いフィードバックを提供できるようになります。ぜひこのシステムを導入し、理科の授業をさらに充実させてくださいね!

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