炎が緑色に変わった! 「これは本当に銅?」の確かめ実験(塩化銅の電気分解)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

炎を緑色に染める金属といえば、何を思い浮かべますか。夏の夜空に咲く花火の青緑色、実はその色をつくっているのは、理科室で見られる銅と同じ仲間です。今回は、中学生の「これは本当に銅なのだろうか?」という疑問から始まった、炎の色をめぐる実験のお話です。

電気分解でできたものの正体は?

塩化銅水溶液の電気分解の実験をしたときのことです。陰極(マイナス極)の表面に、赤茶色っぽい物質がびっしりと付きました。この赤茶色っぽい物質をろ紙のうえに出して、薬さじで擦ってみると光ること(金属光沢?)がみられました。

ある生徒が「これが本当に銅なのか、自分の実験で確かめてみたい」と言い出しました。

「教科書に書いてあるから」で終わらせず、自分の手で確かめようとするのは、とても科学者らしい姿勢です。

ちなみに、陽極(プラス極)では塩素が発生しています。塩素はプールのようなツンとしたにおいがする気体なので、この実験は換気をしながら行うのが基本です。

炎色反応で確かめてみました

そこで、炎色反応で確かめることにしました。やり方はとてもシンプルです。薬さじの上に析出した物質をのせ、ガスバーナーの炎の中に入れて炙ります。

すると、炎がきれいな緑色に変わりました。

金属光沢があること、そして炎が緑色になったこと。この2つの観察結果を合わせると、析出した物質は銅であると考えられます。生徒は、結果を前にして、真剣な表情で考え込んでいました。

炎の色は、どうして変わるのでしょうか

炎色反応は、金属の原子が炎の熱をもらうことで起こります。原子の中の電子は、熱を受けると、いつもよりエネルギーの高い状態にジャンプします。しかし、その状態は長続きしません。電子が元の状態に戻るときに、余ったエネルギーを光として放出します。

このとき出る光の色は、元素ごとに決まっています。だから、炎の色を見れば、どんな元素が含まれているのかを推理できるのです。主な元素と炎の色は、次のとおりです。

・リチウム 赤
・ナトリウム 黄
・カリウム 赤紫
・カルシウム 橙赤(だいだいがかった赤)
・バリウム 黄緑
・銅 青緑

花火の色も、この仕組みを利用しています。花火の青緑色には、銅の化合物が使われているのです。理科室の薬さじの上で起きている現象が、夜空の大きな花火と同じ原理だと考えると、ワクワクしませんか。

色だけで「銅だ」と決めてよいのでしょうか

ここで、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。炎が緑色になったからといって、それだけで銅だと決めつけてよいのでしょうか。

実は、バリウムも黄緑色の炎を出します。炎の色だけで判断すると、見分けにくい場合があるのです。また、銅の炎色反応は教科書では青緑色と書かれていますが、見る人や条件によって、青っぽく見えたり緑っぽく見えたりします。塩素を含む銅の化合物を炙ると、より青みが強く見えることも知られています。今回の物質は塩化銅水溶液から出てきたので、表面に塩素を含むものが少し残っていた可能性もあります。

それに、炎色反応でわかるのは、あくまで銅という元素が含まれていることです。「金属の銅である」ことまでは、炎の色だけでは言い切れません。

だからこそ、今回の生徒が「金属光沢があること」と「炎の色」を組み合わせて考えたのは、よい判断でした。複数の証拠を重ねることで、結論の確かさが増していくからです。さらに確かめたいときは、次のような方法も考えられます。

・紙やすりなどでこすって、赤茶色の光沢が出るか調べる
・電気を通すか調べる
・たたいたとき、割れずにのびるか(展性があるか)調べる

調べる方法を増やすほど、「銅である」という説は強くなっていきます。

ひとつの実験から、次の疑問へ

今回の実験は、「電気分解でできたものを、別の実験で確かめる」というかたちの探究になりました。ひとつの実験の結果を、別の方法で検証する。この流れこそが、科学の進め方そのものです。

次は、ほかの金属でも炎色反応を調べて、色を比べてみるのもおもしろそうです。身のまわりの金属が、炎の中でどんな色の光を見せてくれるのか、想像するだけで楽しみになりますね。

参考リンク

炎の魔法使い!シュワッと広がる色の魔法!スプレーで楽しむ炎色反応!

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